◆老子小話 VOL
1136 (2022.08.20配信)
Human beings,
vegetables, or cosmic dust,
we all dance to a
mysterious tune,
intoned in the
distance by an invisible piper.
(Albert Einstein)
この一週間村上春樹氏の「ダンス・ダンス・ダンス」を読んでいました。
ダンスの響きの心地よさに惹かれ、アインシュタインの言葉を選びました。
「人間も、野菜も、宇宙のちりもみんな、遠くで目に見えない笛吹きが奏でる不思議な曲に合わせて踊る。」
この言葉の前に、
Everything is determined, the
beginning as well as the end, by forces over which we have no control.
「すべては、始まりも終わりも、私たちがコントロールできない力によって決定される。」
が入ります。
村上さんの小説の僕も、生きるためにステップを踏んで踊り続けています。
ダンスという言葉は、なかなかいい言葉だと思います。
人間の誕生も死も、見えない力により支配されています。
科学に近い人間ほど、自然の謎と神秘に心を打たれることになります。
アインシュタインも、宇宙の誕生から生命の進化に至るまで、すべてがその力に動かされていると考えました。
その力を曲にたとえ、その曲を吹く笛吹きが神様ということになります。
タオイストにとっては道となります。
その曲にうまく調子を合わせて生きていく(踊っていく)のが、道に随うと思われます。
変な作為が働いて、調子が狂うとうまく踊れない。
曲を聞く耳を具えていないと、曲に調子を合わせることはできない。
客観的に見るとその力(曲)に踊らされているのですが、踊り方にはその人個人の耳によって異なります。
自分勝手にいい加減に聞いていると、調子外れな踊りになる。
他人と一緒に踊るときには、曲を素直に聞く耳を具えた人を見つける必要がある。
「ダンス・ダンス・ダンス」では、僕はその耳を具えた女性と次々と出会い、一緒に踊ることになる。
安倍さんの死、暗殺した容疑者の苦悩、その原因となった旧統一教会の欺瞞、その元凶を放置した日本の政治。
どこかで事件を防ぎえたチャンスが何回もあったにもかかわらず、結局コントロールできなかった。
不思議な曲に誘われて、皆が自分勝手に踊ってしまった。
曲を聞く耳を具える大切さを教えたアインシュタインの言葉でした。
有無相生