老子小話 VOL 1131 (2022.07.16配信)

故善人者、不善人之師。

不善人者、善人之資。

(老子、第27章)

 

故に善人は不善人の師、

不善人は善人の資なり。

 

この一週間で、安倍元首相を狙撃した理由が次第に明らかになっています。

単純に「民主主義への挑戦」の一言で済まされない、政治とカルト宗教集団(教団)の間の闇が見えてきました。

政治家にとっては信者の応援は政治資金や選挙の際役に立ち、カルト教団にとっては霊感商法や献金の闇を隠すのに政治家の力を借りる。

実際、政治家はカルト教団の日本での設立を助け、教団の改名の手助けをしてきました。

民主主義自体が、政治家の態度如何で汚されてきたのが実情だと思います。

狙撃犯は、自分の家族を破滅させたカルト教団への恨みを、闇つながりの政治家に向けたといえます。

犯罪に関して何ら正当性を与えるものではありませんが、動機は特別なものではありません。

今回の言葉で、善と不善が入り乱れる、この世の中でどう生きるのか、老子は教えてくれます。

「善人は不善を働く人にとって学ぶべき師である。不善を働く人は、善人にとって反省すべき助けとなる。」

この言葉のあとに老子は、「師を尊敬せず、反省すべき助けを大事にしなければ、どんなに知恵があっても迷うことになる。」という。

この世には完全な善人も悪人も存在せず、一個の人間の中で、善と不善が入り乱れます。

自分の行為の善不善はなかなか見えにくい。

他人の善を見て倣うようにし、他人の不善を見て自分の不善を反省する。

とかく政治家は業績だけを見て、業績の背後に隠れる不善の闇を見過ごされる傾向があります。

闇がきっかけとなり命を落とす場合もあると、政治家には認識を新たにしていただきたいと思います。

一方我々も、狙撃犯の自暴自棄を他人事として見るのではなく、自分が同じ境遇に出会ったらどのように自暴自棄を回避できるのか、自省する必要があります。カルト教団に洗脳される肉親がいて破滅の道を進んでいたら、あなたはどうするのか考えた事がありますか?

 

有無相生

 

 

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