老子小話 VOL 1123 (2022.05.21配信)

金自鉱出、玉従石生。

非幻、無以求真。

(菜根譚)

 

金は鉱より出で、玉は石より生ず。

幻にあらざれば、以って真を求むることなし。

 

今回の言葉は、ひさびさの「菜根譚」からです。

「黄金はあらがねの中から得られ、宝石はあらだまの中から生まれる。

幻のこの世の中からしか、真理は求められない。」

この世の中で、真理はそのままで転がっていることはない。

幻の中に潜んでいる。

金は金鉱石という石のなかに潜み、川の砂のなかに埋もれている。

山からたくさんの石を掘り出し、それを砕きわずかな金を取り出す。

川からたくさんの砂をすくい、沈んでいるわずかな金を取り出す。

宝石も金と同じく、みすぼらしい原石の中に潜んでいる。

現在の情報化社会において、情報という石ころはたくさん転がっていますが、その石ころがそのまま真理であることは殆ど有りません。

たくさんの石ころを集めて粉砕(分析)し、隠れている真理をつなぎ合わせ、始めて全体の真理に到達する。

それを自分の五感を使って判断しなければならないので大変です。

最近のマスメディアを見ていて、他人がSNSで発信した情報をそのまま垂れ流しにしていることが多いのに驚かされます。

マスメディアの役目は、独自に取材し、自分の五感を使って真偽を判断し、真理に到達することだと思います。

それを自分で判断することなしに、他人の情報を用いて、ああだこうだと議論しても始まりません。

専門家や評論家を招いて意見を聞いていますが、彼らも偏見がないとはいえないので、発言を鵜呑みにせず慎重に真偽を判断せざるを得ません。

ウクライナ情勢は予断を許しませんが、ロシアにせよウクライナにせよアメリカにせよ、国家が何を言って何をやっているのか、あるいは何をやってきたのかを歴史的に見て、その正当性を判断しなければならないことは明らかです。

 

有無相生

 

 

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