老子小話 VOL 1099 (2021.12.04配信)

歳寒、然後知松栢之後彫也。

(論語、子罕第九)

 

歳寒くして、然る後に松柏の彫(しぼ)むに後ることを知る。

 

12月に入ると今年はどんな年だったか考えます。

コロナがどうなるか心配でしたが、ワクチンの効果が効いたのか感染者数は激減しました。

年末に来て新種のオミクロン株が出始め、新たな緊張が生まれました。

大事なのはどんな危機も何とか乗り切れるという自信を持つことです。

今回の言葉は論語から選びました。

「気候が寒くなってから、はじめて松やひのきが散らないで残ることがわかる」(岩波文庫「論語」より引用)

孔子も自然の変化から人間界の真理を知ったようです。

危機に陥ったときにはじめて真価がわかるという解釈が書いて有ります。

これはひとだけでなく、ものでもサービスでも社会の仕組みでもそうだと思います。

最悪の状態を念頭に置いている人は、危機に直面してもあわてず冷静に行動します。

目先のことだけを考えてきた政治家はあわてふためき、取るべき道を誤ります。

デジタル化で遅れた日本の公共サービスは必要なときに必要なものを必要なひとに届けることができませんでした。

気候変動に対処するため、化石燃料に依存してきた日本は今になってあわてふためきます。

松やひのきがなぜ散らないかを調べてみました。

葉っぱが針のように小さく光合成を行なう面積が小さいので、日光を吸収するためにまっすぐ高く伸びるしかないようです。

つまりは日光の獲得戦略が、葉っぱの面積の広い落葉の樹木とは異なるとのことでした。

日本で言えば、日光の獲得戦略はエネルギー戦略といえそうです。

資源の乏しい日本は針葉樹みたいなもので、何らかのエネルギー獲得戦略を考えないと先細りになります。

エネルギーの無駄を省きながら、化石燃料に代わる新たなエネルギー源を研究開発する戦略を採るということです。

今までの日本の姿勢は外国頼みで、身の丈に合った地道な努力が足りなかったように思います。

論語の言葉は、コロナ後の世界に生きる言葉として読み取れます。

 

有無相生

 

 

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