老子小話 VOL 1096 (2021.11.13配信)

A painting is music you can see

and music is a painting you can hear.

(Miles Davis)

 

今回はジャズの偉大なトランペッターであるマイルス・デイビスの言葉です。

絵画と音楽の関係を語る言葉です。

中学生の英語ですが、意味深いものがあります。

「絵画は見ることができる音楽であり、音楽は聞くことができる絵画である。」

絵画も音楽も映像と音の違いはありますが、作者の思いがそこに表現されています。

絵画を見ていると、映像の中に音も同時に聞こえてきます。

音楽を聞いていると、目の前に映像が現われてきます。

人間の脳とは不思議なもので、過去の記憶に映像と音声は同時に記録されるようです。

映像を見ると音も聞こえ、音を聞くと映像が浮かんでくる。

マイルス・デイビスはもちろん音楽家ですから、音楽によって絵を表現できると考えます。

絵画で重要なのは、色を塗らない部分、つまり余白をどう生かすかです。

西洋絵画は全画面を塗りたくっていましたが、東洋の絵画に出会い、余白の重要性に気づきました。

音楽では、余白は無音の期間です。

マイルス・デイビスは無音の重要性に気づいています。

In music, silence is more important than sound.”という言葉も残しています。

音を鳴らし続けるのが音楽ではないといいます。

音符と音符の間の間(ま)、無音の時間もまた絵としての音楽を構成すると考えます。

有と無が相まって芸術作品を構成することで、人間の五感に強く働きかける効果があるように思えます。

マイルス・デイビスの老荘的音楽論につながる言葉をお届けしました。

 

有無相生

 

 

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