◆老子小話 VOL
1094 (2021.10.30配信)
毋憂払意、毋喜快心。
毋恃久安、毋憚初難。
(菜根譚)
払意を憂うこと毋(なか)れ、快心を喜ぶこと毋れ。
久安を恃むこと毋れ。初難を憚ること毋れ。
今年もあと2ヶ月となりました。
コロナが収束したのが、一番明るいニュースでしょうか。
今回の言葉は菜根譚から選びました。
払意というのは意を払うことで、思い通りにいかないことです。
「…なかれ」が続く説教じみた言葉ですが、なかなか深い言葉です。
「思い通りにいかないことを気にかけるな。
思い通りになっても有頂天になるな。
いつまでも平穏無事にいることをあてにするな。
最初から困難に出会っても尻込みするな。」
まさに新型コロナで学んだ教えといえる言葉です。
コロナに出会って、これまで当たり前であった平穏無事の有り難さを知りました。
自粛で思い通りにいかなくても、それに代わる生活の質を豊かにすることで何とか乗り切る力を得ました。
ワクチンのお陰で収束したように見えますが、国内外の人流が活発になれば次の波がやってくるおそれがあります。
有頂天になることなく、粛々と感染防止に努めなければなりません。
Withコロナの世界に対応できるように日本のシステムを変えていけるかどうかが、新しい日本の課題になっています。
相変わらず東京一極集中は維持され、テレワークはなりを潜め、朝の通勤電車は混雑し始める。
これでは、コロナの教訓が無になってしまいます。
明日は衆院選ですが、格差を広げる経済発展の議論の前に、国民の生活の質向上にどれだけ多面的に取り組むかの議論がなかったのが寂しい限りです。
菜根譚の言葉は、困難にぶつかった国民が心の支えとする言葉になっていると考えます。
有無相生