◆老子小話 VOL
1091 (2021.10.09配信)
天下難事必作於易、
天下大事必作於細。
(老子、第六十三章)
天下の難事は必ず易きより作(おこ)り、
天下の大事は必ず細より作(おこ)る。
秋本番となりました。
収穫の秋と呼ぶように、収穫された天の恵みを味わう季節です。
皆様もこの季節を満喫されておられると思います。
今回の言葉は老子からです。
「世界の難問題は易しいうちに起こり、世界の大事件はちょっとしたことから起こる。」
少子高齢化という問題は30年前から指摘され、そのまま放置されたため、難問になっています。
少子高齢化は人口の都市集中から起こっており、この一極集中の問題も放置されてきました。
人口の都市集中は、高度経済成長時代はメリットがありましたが、結局地方の疲弊を招きました。
狭い場所に多く住むので地価が高騰し、結婚しても子供を作らず家計を遣り繰りする。
おまけに政府は国民の安心よりも経済を優先し、国民よりも企業を優遇して非正規雇用を増やし、賃金の低下を招いた。
家計が苦しくなれば、ますます少子化に拍車がかかります。
今頃になって岸田首相は成長と分配を目標にしますが、難問になるまで放置した反省が全くない。
都市への一極集中が、インフラのデジタル化を遅らせたという経緯の分析もしていない。
100年先を見越したビジョンがなかったので、未だに少子高齢化や一極集中という問題に根本的な手が打たれない。
これではつぎはぎ政策といわれても仕方がない。
接待問題や収賄事件が後を絶たないように、企業との癒着が強いのが自民党の本質ならば、難問解決を期待するのはあきらめたほうがいいように思われます。
一方、最近の大事件と言えばコロナ感染ですが、コロナのお陰で見えてきた日本の抱える問題の多さに驚きます。
医療崩壊が叫ばれましたが、コロナ患者を受け入れる病院を政府が確保できなかったのが一番大きな原因です。
厚労省管轄の病院ではたったの5%しか病床確保していなかったことはあまり知られていません。
デジタル化の遅れは、給付金申請受付を手作業でやっていたことに顕著に現われました。
ココアという濃厚接触者追跡システムも機能しませんでした。
世の中の難問題や大事件は小さな種から成長して、大事になってから慌てます。
プライベートな問題も同じ事が言えるでしょう。
命に関わる問題では、自覚症状があったのに放って置いた結果手遅れになるケースです。
自覚症状は天からの声です。体という自然からの悲鳴といってよいかも知れません。
是非治癒可能なうちに医者にかかってください。
大事件と言えば、高齢者を狙った詐欺です。
お金に関わる電話は、損する場合でも得する場合でも受け付けないことです。
警察や役所からの電話は信用しないことです。
ちょっとしたことから大事件に発展するという、老子の言葉は身を守る言葉になっているようです。
有無相生