◆老子小話 VOL
1086 (2021.09.04配信)
子絶四、毋意、毋必、毋固、毋我。
(論語、子罕第九)
子、四を絶つ。
意なく、必なく、固なく、我なし。
菅首相が総裁選出馬を断念する意向を発表しました。
コロナ対策で指導力を発揮できず、国民の支持も得られず、切羽詰った上での決断だったと思います。
誰がやっても苦しい状況ですが、医療崩壊を食い止める施策は一年前から準備できたはずです。
五輪開催を優先させ、国民の健康安全を後回しにしたのでは、国民の心は離れるばかりです。
次の首相に捧げる言葉を論語から選びました。
「先生は4つのことを絶たれた。勝手な心を持たず、無理押しせず、執着せず、我を張らない。」
政治家が選挙に通るためには、自分を押し出して勝負に執着することは必要です。
しかし、当選した後に政治を行うときは、この4つを捨て去らないと正道を進むことはできません。
自民党の政治家を見る限り、派閥の力に執着し総裁を選び、総理が決まったあとは派閥の利益にかなうように内閣のポストが決められる。
絶たなくてはいけない4つの要素をフル回転する。
また選挙応援してくれた人だけが、国民の代表だと勘違いする。
権力の中枢にいると、最初に芽生えてくるのが意、必、固、我です。
裸の王様になりイエスマンが周りに群がり、国民の生活の現場が見えなくなる。
ワクチンさえ打てば、コロナ危機は乗り越えられると慢心する。
真実を知るには誰に会わなくてはいけないのかを忘れる。
よき人材を集めるには、自分自身が空の心を持つことが必要だと論語は言っているようです。
空の心を持てば、意、必、固、我は自ずと消えてくる。
よき知を具える人材もまた空の心を持っているはずで、対等な関係を保ち首相に助言ができる人材となります。
有無相生