老子小話 VOL 1083 (2021.08.14配信)

All things must pass.

None of life's strings can last.

So I must be on my way,

and face another day.

 (George Harrison, “All things must pass”)

 

今回の言葉は、ビートルズのジョージ・ハリソンが1970年に発表した曲の詞からお届けします。

コロナ禍の今聞きなおすと、この部分が一番心に染み渡ります。

といっても、この曲を知ったのはつい最近のことですが。

All things must pass.は、すべてのものは通り過ぎていく定めにある。

一言で言えば諸行無常。

「方丈記」の冒頭、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」と同じです。

あらゆるものは変っていく。変らなくなるのは死んだときで、その人の時間が終わったときです。

None of life's strings can last.

life's stringsという表現が気に入っています。

lifeは命で、stringsはひもで、ひもでつながったものを表わします。

命がつながったものですから、命のつながりとか、命の流れと考える事が出来ます。

その命の流れは永遠ではない。

Strings of lifeというDerrick Mayが1987年に発表した曲があります。

こちらは、命の流れを躍動感あふれるリズムで表現している。

その躍動感も長くは続かない。

それでお前はどうするんだ?という問いかけが詞の行間にある。

その答えが、So I must be on my way, and face another day.となる。

こちらもmustが使われている。

命ある限り歩み続け、新たな日に向きあう定めにある。

コロナ感染して自宅療養を続けられている方々には、快方をただただ祈るしかありません。

芭蕉が「奥の細道」で語るように、月日も流れる旅人なら、そこに生きる我々もまた、日々旅をする旅人である。

on my wayはまさに旅の途中を意味し、another dayを迎えられること自体が幸せということになる。

ジョージ・ハリソンの言葉から、幸せは何かということを味わえました。

 

有無相生

 

 

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