◆老子小話 VOL
1073 (2021.06.05配信)
無名天地之始、
有名萬物之母。
(老子、第一章)
名無きは天地の始め、
名有るは万物の母。
今回は老子の言葉をお届けします。
しかも第一章の有名な言葉です。
「天地が生まれるときは名はなかった。
万物があらわれてきて名が出てきた。」
聖書の天地創造は神様が名前をすでに
与えていたような書きぶりです。
神様が「光あれ」と言うと光が生まれた。
一方、老子は科学的に天地創造を語る。
そもそも名前はなかった。
老子第42章に
「道は一を生じ、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず」
と記される。
一はビッグバンで、そこから陽と陰の粒子が生まれ、
それらの粒子の混成により万物が生まれた。
そもそも名前は人間が万物に付けたもの。
名前を付けることで人間は世界を認識してきた。
名前は差別・区別の道具であり、名前の付け違いで世界を誤って認識するおそれも出てくる。
しかし、いかなる万物も進化の原点をたどると一に行き着く。
パレスチナ人もユダヤ人も根っこの所で繋がっている。
老子の言葉には、紛争解決の糸口が隠れているようです。
有無相生