老子小話 VOL 1071 (2021.05.22配信)

知人者智、自知者明。

勝人者有力、自勝者強。

 (老子、第三十三章)

 

人を知る者は智なり、

自ら知る者は明なり。

人に勝つ者は力有り、

自ら勝つ者は強し。

 

今回は老子の言葉をお届けします。

コロナ感染の波に翻弄される毎日ですが、

どんな状況に置かれてもこの言葉だけは

忘れてはいけないと考えます。

他人のことはよく見えるが、自分のことは

見えていない。

クラスターの原因になるパーティ自粛を説く

政治家が、後援会のパーティには参加する。

行き届いた感染防止対策が採られているから

問題ないとする。

緊急事態宣言下でも東京五輪は開催しようと

する政治家はまさに力でごり押しする。

しかし本当に強いのは、周囲の意向に押さえる

自分に勝つ人間である。

五輪関係者から感染者が出たときは、優先的に

医療措置を受られるような働きかけまでしている。

国民から選出された政治家が、国民の安全を忘れる。

自分に都合のいい論理は実に巧妙に考えつく。

目を自分に向ける。

いつも頭に置いているのが、「もし相手が自分だったら」

という仮定である。

その仮定のもと、「今と同じことをするか?」という自問

である。

答えがノーなら、政治家と同じ、自分に都合のいい論理

を使っていることになる。

自分に都合のいい論理は自分を甘やかす。

自分を甘やかさない人間が強い人間である。

世の中を見ていると、自分に甘い権力者がどれほど多いか

驚かされれる。

権力のあるなしに関わらず、強い人間が自分の身を支える

ことができる。

 

有無相生

 

 

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