老子小話 VOL 1067 (2021.04.24配信)

水流元入海

月落不離天

 (「五灯会元」巻十六)

 

水流れて元海に入り

月落ちて天を離れず

 

今回は「禅林句集」から禅語をいただきます。

この言葉は、「悟りはどこから得られるか?」

と師匠より問われた禅僧の答えです。

「川の水は最後には海に入り、月は落ちるが

天を離れない。」

確かに水は高きより低きに流れ、海に入ります。

月は東から昇り西に沈みますが、翌日には天に

昇るので、天を離れません。

この自然の流れの中で、直観的に気づく真理が

悟りですと答えているようです。

元海と呼ぶのは、海が水が生まれた原点であり、

天に昇った水が雨になり川になり海に回帰する

ことを意味しています。

自分が水や月になって、自然の流れに沿って、

原点回帰の旅を空想すると、人生が少し豊かに

思えてきます。

ポール・ギャリコの「雪のひとひら」という物語

を読むと、雪になって人生の旅をすることが

できます。

大切なのは、どこにでも悟りの機会にあふれて

おり、それに気づく心の眼を備えていることだと

思います。

 

有無相生

 

 

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