老子小話 VOL 1062 (2021.03.20配信)

而有所矜,則重外也。

凡外重者内拙。

 (荘子、達生篇第十九)

 

而れども矜しむ所有れば,

則ち外を重くするなり。

凡そ外重き者は内拙し。

 

先週の老子に続き今回は荘子です。

老から荘へと言葉は続きます。

上の言葉には前置きの話がありそれをまず

ご紹介します。

賭け事をするとき、瓦のように価値のない

ものを賭ける場合勝負はうまく運ぶ。

少し価値のある帯留め金具を賭けると心が

動揺し平気ではいられない。

さらに高価な黄金を賭けるとなると、もう

目がくらんでどうしようもなくなる。

個人的な経験でも、知り合いと賭けをして

ゲームをするとき、かけ金が増すにつれ

心は乱れ平静でいられなくなる。

それを見て荘子は、

「ゲームの腕前は変らないのに、惜しいと執着

する気持ちがあると外物を重んじ心が乱れる。

そもそも外物を重んじると心は粗略になる。」

ゲームの勝負に集中しなければならないのに、

かけ金という外物に心が奪われる。

これは別に賭け事だけではありません。

就職先を選ぶ際も知名度や報酬という外物に

心を奪われると、正しい判断ができなくなる。

この世の中に心を惑わす外物は多々ありますが、

それを重んじるか軽んじるかで、心にゆとりを

もたらしてくれる。

卒業式も終わり四月からは新生活が始まり、

新たな外物がどしどしと自身の心に流れ込む

時節でもあります。

それら外物にあおられないように虚心で事に

あたり、スムーズに変化を乗り切られること

を祈ります。

 

有無相生

 

 

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