◆老子小話 VOL
1061 (2021.03.13配信)
大直若屈、大巧若拙、大弁若訥。
(老子、第45章)
大直は屈するが若く、
大功は拙なるが若く、
大弁は訥なるが若し。
3.11東日本大震災の10年は、未来の日本にとって
大切なメッセージを残しています。
都市集中から脱却できない故に、大電力を地方の
原発に依存し、原発からの放射能が地方に悲劇を
もたらすという理不尽を生んでいます。
地方分散の鍵が国と地方をつなぐ行政のデジタル化
なのに、都市集中にこだわり続けた故にデジタル化
では先進国中で一番遅れている。
ココアというコロナ感染者の追跡アプリの惨めな結果や
マイナンバーカードの低普及率はこれを物語っている。
震災からの復興が遅れているのは、都市集中を続け、
デジタル化による社会システムの分散化をないがしろ
にしてきたためと言えます。
前置きが長くなりましたが、今回の言葉は老子です。
「真にまっすぐなものは曲がっているようにみえる。
真に巧妙なものはへたくそのようにみえる。
真に雄弁なものは口下手のようにみえる。」
ほんとうの姿はみかけとは違っています。
ひとはみかけで判断しがちですが、本質はその逆
かもしれません。
昔「あー、うー」と言うばかりで話が進まない日本の
首相がいました。しかし、言っていることは本質を
貫く言葉でした。まさに大弁の大平さんでした。
ピカソの絵は子供でも描けそうな絵ですが、子供に
は描けない視点をもっています。
親鸞聖人は弥陀の教えを説くために真っ直ぐな道を
進みましたが、みかけは流罪にあい越後・関東を
遍歴する曲折の道でした。
老子の教えは、みかけに惑わされて本質を見逃しては
ならないということです。
うわさや世評をうのみにせず、自分の目で確かめる
ことです。
そんなとき、「本質は意外と見た目とは逆」という
今回の言葉を思い出しましょう。
怖い人だと思っていたら意外と優しかった。
そんな経験は誰もがもっているのでは。
有無相生