老子小話 VOL 1055 (2021.01.30配信)

反者道之動。弱者道之用。

天下萬物生於有、有生於無。

(老子、第四十章)

 

反とは道の動。弱とは道の用。

天下万物は有より生じ、有は無より生ず。

 

今回も老子の言葉をお届けします。

「根源に回帰するのが道の運動。

弱弱しいのが道の働き。

天下の物は形あるものから生まれ、

形あるものは無なる道から生まれる。」

人間生まれてから記憶が蓄積され、

老いていくほど記憶が薄れていく。

水は、海から蒸発して雲になり、

雲が雨を降らし、川になり海に帰る。

このように万物の運動は根源に帰る。

しかし記憶が蓄積される過程や水の動き

は弱弱しく実感できない。

水は水の分子から構成され、水の分子は、

酸素と水素の原子から構成される。

原子は素粒子から形成され、素粒子は

宇宙の始まりに形成されたと物理学は

説明する。

人間の知の及ぶのは有の世界、宇宙の

始まりの前の世界は、知の及ばない

道という無の世界である。

一神教は宇宙の創造主を神と呼ぶ。

しかもその神を人間のように扱う。

しかし、老子は宇宙を支配する法に

関心を持ち、その法を道と呼ぶ。

道は擬人化されず、その運動と働きで

表現される。

道に従った生き方は、ストレス社会を

生き抜くために役にたつのではと

思い、今回の言葉を取り上げました。

自分の根源は何なのかを考え、そこに帰る

方法は目立たずそして徐々に進めていくのが

よいと教えてくれます。

 

有無相生

 

 

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