老子小話 VOL 1054 (2021.01.23配信)

希言自然。

故飄風不終朝、驟雨不終日。

(老子、第二十三章)

 

希言は自然なり。

故に飄風は朝を終えず、

驟雨は日を終えず。

 

今回は老子の言葉をお届けします。

希言はかすかな言葉、耳に聞き取れない

ほどの言葉です。

「聞き取れない言葉が自然のあり方である。

暴風も半日も続かず、豪雨も一日中

続かない。」

暴風も豪雨も天地のなす技であり、

それが長く続かないのであるから、

人間の抵抗が長続きするわけがない。

自然が発するメッセージは聞き取れないほど、

微かである。

しかしそのメッセージは貴重である。

台風のあとのお天気はうそのようである。

あの暴風雨は何であったのかと思うほど、

一転の爽やかさをもたらしてくれる。

この世で常なるものはない。

それは好機も危機もである。

繁栄はいつまでも続かず、飢饉も続かない。

無常のものを常なるものとあてにしたり、

不安を抱いたりして、苦しみを生んできた。

コロナも言ってみれば吹き荒れる暴風雨の

ようなもの。

人間知の結集がワクチンでコロナへの抵抗

となるが、コロナも変異を繰り返して、

その抵抗をかわそうとする。

ワクチンなどに過度な期待をかけることなく、

とにかくできる限り感染防止につとめ、無常を

信じて過ぎ去るのを待つしかない。

老子の教えは、何千年間繰り返された天災と人災

から人類が学んだ知恵なのかもしれない。

 

有無相生

 

 

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