老子小話 VOL 1051 (2021.01.02配信)

めでたさも中くらゐなりおらが春

(小林一茶)

 

新年明けましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

 

今回は一茶の句をお届けします。

新年を迎えておめでたいには違いないが、

中くらいのほどほどがちょうどいい。

この句の前置き文として、

「から風の吹けばとぶ屑家はくず屋のあるべきように、

門松たてず煤かず、雪の山路の曲り形りに、

ことしの春もあなた任せになんむかえける」

とあります。

風が吹けば飛んでしまうあばら家にふさわしく

門松も立てず煤も払わず、雪の山路のような

紆余曲折のもとで今年の春も弥陀任せで何とか

無事にお迎えができた。

中くらいのめでたさは、いろんな苦難に曝される

中でしんみりと味わうありがたさのようです。

苦難に出会うと、自分がいかに周りの人々に

支えられ勇気づけられていることがわかります。

ことしの正月は特に一茶の句が身にしみます。

「雪の山路の曲り形りに」には、一茶の人生が

映し出されているようです。

雪に閉ざされた山道、それも真っ直ぐではなく、

紆余曲折の道。

そこで見る光は、守られているという確信。

新年の句にふさわしい言葉と思いました。

 

有無相生

 

 

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