◆老子小話 VOL
1050 (2020.12.26配信)
行年や氷にのこすもとの水
(与謝蕪村)
2020年最後のお届けとなりました。
行く年を惜しんで、蕪村の句をお届けします。
おうふうの「蕪村全句集」の解説によると、
方丈記の、「行く川のながれは絶えずして、
しかももとの水にあらず。」を踏まえている
とのことです。
2020年の出来事は行く川の水と共に流れて
いってしまうが、各人の思い出は岸辺の氷
のように流れずに胸に秘められる。
「氷にのこすもとの水」という表現はすごく詩的です。
氷もまた時が経てば融けて、忘却の彼方に流されてしまう。
しかし思い出の断片は心の奥底に沈殿する。
氷には、時間を止めて思い出を凝縮する働きが込められる。
2020年は皆様にとってどんな年だったでしょうか?
まだ終わっていませんが、今年の記憶を振り返り
来年への希望につなげるきっかけを与えてくれる
蕪村の句でした。
最後に、本年は本メルマガをご愛顧いただき、
心より御礼申し上げます。
来年もよろしくお願いいたします。
ではよいお年をお迎えください。
有無相生