老子小話 VOL 1050 (2020.12.26配信)

行年や氷にのこすもとの水

(与謝蕪村)

 

2020年最後のお届けとなりました。

行く年を惜しんで、蕪村の句をお届けします。

おうふうの「蕪村全句集」の解説によると、

方丈記の、「行く川のながれは絶えずして、

しかももとの水にあらず。」を踏まえている

とのことです。

2020年の出来事は行く川の水と共に流れて

いってしまうが、各人の思い出は岸辺の氷

のように流れずに胸に秘められる。

「氷にのこすもとの水」という表現はすごく詩的です。

氷もまた時が経てば融けて、忘却の彼方に流されてしまう。

しかし思い出の断片は心の奥底に沈殿する。

氷には、時間を止めて思い出を凝縮する働きが込められる。

2020年は皆様にとってどんな年だったでしょうか?

まだ終わっていませんが、今年の記憶を振り返り

来年への希望につなげるきっかけを与えてくれる

蕪村の句でした。

最後に、本年は本メルマガをご愛顧いただき、

心より御礼申し上げます。

来年もよろしくお願いいたします。

ではよいお年をお迎えください。

 

有無相生

 

 

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