老子小話 VOL 1036 (2020.09.19配信)

Don’t walk behind me; I may not lead.

Don’t walk in front of me; I may not follow.

Just walk beside me and be my friend.

(アルベール・カミュ)

 

僕の後ろを歩かないでくれ。

僕は導かないかもしれない。

僕の前を歩かないでくれ。

僕はついていかないかもしれない。

ただ僕と一緒に歩いて、友達でいてほしい。

 

今回はカミュの言葉を選びました。

カミュは「ペスト」を書き、感染症でパニックになる社会を

描きました。

新型コロナにおびえる人間の心理がそこに映し出されます。

日本では安倍首相がコロナ・ストレスで辞任し、菅首相が

誕生しました。

新たな内閣はコロナ対策と経済対策の両方を地道に実行する

使命を帯び、期待感から異常なまでの支持率を得ています。

カミュの言葉における、「僕」とは国民のことかもしれない。

首相自らがビジョンを持たずに国民の意見に従い、国民の後を

追っていてもダメである。

かといって、縦割り行政を目の敵にしてデジタル庁を作っても、

それが先走りして、国民が付いて行けないのもダメである。

国民の気持ちに寄り添い、国民と共に歩んで欲しいというのが

国民の願いである。

もりかけ桜の調査に強引に終止符を打っても、国民の気持ちは

釈然としない。

文書改ざんで自殺者を出し、桜を見る会を利用して詐欺師集団が

巨額の資産を高齢者からだまし取った。

文書は廃棄したからハイ終わりでは済まされない。

「僕」の前を突き進んでいては、「僕」は付いていけない。

自民党内に目を向ければ、「僕」は二階幹事長かもしれない。

幹事長と総裁はやはりお友達関係がよい。

幹事長の言うことばかり聞いていると、主体性の無さを非難され、

幹事長の意見を無視すると、国会での数の支配が出来なくなる。

つまり議案が通らなくなり、首相は浮いた存在になる。

こういった意味で、カミュの言葉は「対等な関係を保ち共に歩む」

大切さを説いたと考えられます。

菅首相の理念、「自助、共助、公助」は、首相自らの生い立ちから

体得した理念だと思います。

「公助」は、僕(国民)の前を助けが走る場合でしょう。

マイナカードで特別定額給付金を支給しようとしたが、国民は付いて

いけなかった。

「自助」は、国の助けが頼りにならないので、自分で努力する場合。

カミュが大切にするのは共助で、気持ちに寄り添い共に歩むこと。

菅さんに、この暖かい心があるのかないのかはこの一年でわかります。

 

有無相生

 

 

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