老子小話 VOL 1021 (2020.06.06配信)

みんな まだ

ふかい ねむりの

なかですが

 

あさが しーんと

てを あわせています

ようやっと

いま おでましの

おひさまへ…

 

ああ

ての じゅずの

ひかり!

(まどみちお、「あさつゆ」)

 

今回は趣向を変えて、まどみちおさんの詩を

お届けします。

詩集「いのちのうた」(ハルキ文庫)のなか

から選びました。

まどさんの詩の世界では、自然のあらゆるものが

ほとけの心を持っているようです。

朝が手を合わせるというシーンは感動的です。

ほんとうだったら、きょうもよき日であります

ようにと人間が手を合わせるべきなのに、朝が

代わりに祈ってくれる。

朝という表現は、朝を迎える自然のすべてを

含んでいるようです。

あさつゆという言葉を使わず、おひさまの光で

輝くじゅずで祈りを表現しています。

ひとが気づかなくても、自然の恵みは黙々と

生命を支えています。

夜明けに輝くあさつゆを見て、おひさまの恵みと

あさの感謝の心を感じ取れる、優しい気持ちを

大切にしたいものです。

「短夜や毛むしの上に露の玉」という蕪村の句が

ありますが、ちっぽけな毛虫の上にもあさつゆの

恵みを感じる優しさが現われていますね。

 

有無相生

 

 

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