老子小話 VOL 1014 (2020.04.18配信)

なんでも知らないことが必要なので、

知っていることは役に立たない。

(ゲーテ)

 

今回はゲーテの言葉をお届けします。

知らない事が人間にとって必要な事という。

知らない事に気づきなさいといったのが、

古代ギリシャの哲学者ソクラテス。

知っていることは役に立たないと教えたのが

古代中国の思想家の老子。

ゲーテは、自分で行動して知をつかめという。

今の時代、ネットを介して知ることは無限にある。

ところが、その情報はフェイク、つまり偽の知で

ある事が多い。

ゲーテがネット社会を予見したとは思わないが、

知っていることをうのみにして人生を誤るより、

知らないことを基本に自分で知ろうとする行動が

生きるために必要だとゲーテはいう。

新型コロナでいえば、コロナの正体がまだわかって

いないのに、どんな薬が効くとか、どんな食べ物が

効くとか、偽の知が飛びかっている。

アビガンにせよ、ある患者に一定の効能があっただけ

で、新型コロナ用の薬ではない。

ノーベル賞受賞者の本庶佑先生は、インフルエンザ

ワクチンですらまともに効いていないという。

つまり私たちがわかっているのは、自分のからだの

免疫力を信じるほかないということです。

インフルエンザワクチンを打たなくても、感染した

ことがない人も多くいます。

免疫力は個々人で大きく異なっているのが現状です。

持病を持っていて免疫力が低下している人に感染

させてしまうのは避けなくてはなりません。

人間は、知っていると思うととかく油断をします。

感染のシミュレーションをして、クラスターを

なくせば感染防止できると唱える人も油断の現れです。

感染経路のすべてをモデル化していないからです。

というわけで、何も知らないことを前提に、

われわれは最低限何をすればよいか、自分で

考える事が、ゲーテの教えになるようです。

 

有無相生

 

 

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