老子小話 VOL 1008 (2020.03.07配信)

天時不如地利。

地利不如人和。

(孟子、公孫丑章句下)

 

天の時は地の利に如かず。

地の利は人の和に如かず。

 

今回は孟子の言葉をお届けします。

戦いに勝つのは、最終的には人心の

結束だという話です。

新型コロナとの戦いにおいても、

このことは言えそうです。

「天の時は地の利に及ばず、

地の利は人の和に及ばない」

古代中国では戦争を始める前に

開始の時期と吉凶の方向を占い

で決めていました。

天の意志を占いで図ったわけです。

しかし戦場の地理的な状況に

応じた戦略を立てないと勝てません。

従って、地の利が天の時よりも勝敗に

大きく影響する。

孫子の兵法はこの点を主張しています。

ところが地理的に優位でも、いかに武器

や物量に恵まれていても、軍隊の士気が

乱れていては決して勝てない。

従って、人の和が地の利よりも大きく

勝敗を左右する。

新型コロナの場合で考えるなら、天の時は

ウィルスの自然消滅をじっと待つことです。

国家が国境を封鎖したり、渡航禁止したり、

外出禁止して感染拡大を防ぐのが、地の利

で、天の時より効果はあります。

しかし、人の移動を完全に止めるのは不可能

で、結局国民一人一人が意識して感染防止

処置をするのが、一番有効になります。

これが、人の和が地の利に勝るということ。

国民の良識が国を支えるというのが孟子の

教えのようです。

ただ良識を実践するというのは、強い意志が

必要です。

 

有無相生

 

 

戻る