◆老子小話 VOL
1003 (2020.02.01配信)
あしよしを思ひわくこそ苦しけれ
ただあらるればあられける身を
(西行、「山家集」)
今回は西行の和歌をお届けします。
西行は、平安末期から鎌倉初頭に生きた
お坊さんです。
800年以上の昔のお坊さんも悩みは今の
我々と同じです。
「あしよし」は善悪で、善悪を分別すること
は心苦しいことだと言います。
「あられける身」とは、自然のままの自分、
ありのままの自分です。
アナ雪の歌じゃありませんが、ありのまま
の自分を出していけば、苦しまずに済んだ
と告白しています。
自分をよく見せようとか、悪い子にならない
ように気を使ってみても、それは作為的で
自分に対しては戸惑いを、相手に対しては、
違和感を与える。
善悪の判断は相対的だから、自分にとっての
善は相手にとって善にならない場合もある。
そこで、無心になって自分らしさを出せば、
きっと道は拓けたかも、と西行法師も言う。
和歌のアナ雪版でした。
有無相生