老子小話 VOL 1003 (2020.02.01配信)

あしよしを思ひわくこそ苦しけれ

ただあらるればあられける身を

(西行、「山家集」)

 

今回は西行の和歌をお届けします。

西行は、平安末期から鎌倉初頭に生きた

お坊さんです。

800年以上の昔のお坊さんも悩みは今の

我々と同じです。

「あしよし」は善悪で、善悪を分別すること

は心苦しいことだと言います。

「あられける身」とは、自然のままの自分、

ありのままの自分です。

アナ雪の歌じゃありませんが、ありのまま

の自分を出していけば、苦しまずに済んだ

と告白しています。

自分をよく見せようとか、悪い子にならない

ように気を使ってみても、それは作為的で

自分に対しては戸惑いを、相手に対しては、

違和感を与える。

善悪の判断は相対的だから、自分にとっての

善は相手にとって善にならない場合もある。

そこで、無心になって自分らしさを出せば、

きっと道は拓けたかも、と西行法師も言う。

和歌のアナ雪版でした。

 

有無相生

 

 

戻る