1-2部の波紋編とそれ以降(3-6部)のスタンド編に大きく分けられる。
当時のジャンプ系の漫画は,強さのインフレが起きるものが殆どだったが,これだけは,その設定もあってあまりインフレを感じなかったことに感銘を受けたことを記憶している。
個人的には3部以降のスタンド編の方が好きだ。
話としては,一般にあまり評価が高くない感のある4部が一番好きだった。
5-6部に関しては,個人的には些か消化不良気味。
特に5部で,ボスをあんな裏技使わずに倒して欲しかったと思うんだが。
確かに4部でその伏線が張られてはいたけれど。
6部は宇宙ステーションの辺りから,てっきり空からカーズが降ってくるのかと期待してたけど,全然違った(笑)
全編を読んで,この作者にとっては,心の中で「時間」というのが一番大きなウェイトを占めているんだなと感じる。
因みに,一番好きなキャラはイギー。
イギーが死んだシーンは格好良かったし,涙した(笑)
4部までの評価は5。
それ以降は4ってことで,総合的には4.5とした。
6部終了後,ジャンプでパラレルワールドという設定で新しい連載が始まった。
体の至る所を整形手術し,日々のメンテナンスは欠かせないものの,究極の美を手に入れた主人公「りりこ」の落ちていく姿を綴った物語。
それを支える者,利用する者,追随する者,憧れる者,静観する者たちと織りなすストーリーは圧巻。
検事とのやりとりのシーンを見て,ちょっとツインピークスの赤いカーテンの部屋などを思い出してしまった。
その辺があったので,バットエンドを予想していたけど,サラッと流れるようで,印象的なエンディングだったと思う。
お薦めの1冊。
因みに私はビートルズのヘルタースケルターは聞いた事がない。
主人公を含めた数人は,人間の記憶に入って,その記憶を操作することが出来る。
人間の記憶には「ヤマ」という最も幸せ記憶と「タニ」という最も嫌な記憶があり,そのどちらかが欠けても人間は成り立たないという設定や,他人の記憶への進入をガードするための「鍵」という概念諸々,よく練られている。
ストーリーも壮大になりがちなテーマながら,しっかりまとまっているし(全5巻),読み応えも十分ある。
「ぶっせん」の作者だが,「ぶっせん」人間ドラマ的部分をそのままに,ギャグ的な部分をシリアスな話に変えた雰囲気か。
お薦め作品。