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気象のお部屋

天気図の解説ページ


目次

地上天気図の書き方地上天気図の読み方

高層天気図の書き方高層天気図の読み方

国際式天気図その他の天気図

気象情報へのリンク


地上天気図の書き方

準備

 必要なもの:AMラジオ・天気図用紙No.1またはNo.2・黒/赤/青/紫の筆記用具

 地上天気図(海面天気図とも言います)を書くために必要な情報は次のラジオ局で放送しています。

 ラジオたんぱはいくつかの理由により難しい(まあ、一回聞いてみる価値はあると思いますが)のでNHKの方をお勧めします。

 天気図用紙は大きな本屋で売っています。No.1は図の範囲が狭いかわりに情報をメモする欄や記号の説明がついています。メモと記号の説明は慣れるまでは便利です。慣れてきたら天気図はNo.2のほうを使うことをお勧めします。情報を敢えてメモする必要性は薄いし、そんなことするくらいならカセットテープに録音すればいいからです。それに天気図用紙No.1では日本の東方にある低気圧などが図の範囲外になってしまうのです。なお、ラジオたんぱにはNo.1のほうが向いていると思います(東方の低気圧などをあまり放送しないからです)。

 筆記用具は黒・赤・青・紫のペンと黒鉛筆が便利です。まあ黒一色でも書けますが見にくくなることが多いのでカラーにするのをお勧めします。

書いてみる

初めのうちはカセットテープに録音しておくべきでしょう。

 下に地上天気図に使われる天気記号を示します。

 放送が始まる前に、まず地図の左上の欄に何時の気象情報なのか(放送の時間ではなく)を書いておきます。

NHK第2放送の場合

 放送は「気象庁予報部発表○月×日△時の気象通報です。まずはじめに各地の天気をお伝えします。石垣島では北北東の風、風力3、天気はれ、気圧1016hPa、気温22℃。那覇では北東の風、・・・」と始まります。

 まず石垣島を探します。台湾のすぐ東です。石垣島を示す円が見つかったらその円から北北東に線を引き、羽根を3本つけます(北北東の風、風力3)。そして円の中に縦線を引きます(天気はれ)。次に円の右上に16、左上に22と書きます(気圧1,016hPa、気温22℃)。なお気圧は普通1,000hPa以上では下2桁のみを放送します。つまり1,006hPaは06hPaと放送され、998hPaはそのまま998hPaと放送されます。天気図に記入する数字はこの形式に準じます。できあがりは左図を見て下さい。

 放送地点は次の順です。

 石垣島、那覇、南大東島、名瀬、鹿児島、福江、厳原、足摺岬、室戸岬、松山、浜田、西郷、大阪、潮岬、八丈島、大島、御前崎、銚子、前橋、小名浜、輪島、相川、仙台、宮古、秋田、函館、浦河、根室、稚内、ポロナイスク(またはアレクサンドロフスク)、セベロクリリスク(またはオゼルナヤ)、ハバロフスク、ルドナヤプリスタニ、ウラジオストク、ソウル、ウルルン島、プサン、モッポ、チェジュ島、台北(タイホクと読まれる)、恒春、長春、北京、大連、チンタオ、上海、武漢、アモイ、香港、バスコ(またはラワーグ)、マニラ、父島、南鳥島、富士山。

 なお、富士山は風向、風力、風速、天気(12時のみ放送)、気温を放送します。2001年12月3日をもってウルップ島、マツア島は廃止され、代わりにセベロクリリスク(パラムシル島)、南鳥島が追加になりました。また、テチューヘはルドナヤプリスタニ(確か大きな世界地図帳で見るとテチューヘはこの都市からちょっと山際に入った小さな町だったはず。)、ウラジオはウラジオストク、漢口は武漢に地名変更されました。

 どこにも書いていないような注意点。

 各地の天気の次は「船舶の報告」です。放送は「東シナ海の北緯28度、東経126度では北東の風、風力5、天気不明、18hPa。本州南方の北緯29度、・・・」

 放送された地点を探し、その位置に円を書き各地の天気の記入と同様にします。ただし気温の報告はありません。報告は日本の南西(南シナ海方面)から北東(北海道東方)に向かって放送していきます。

 最後が「漁業気象」です。低気圧、前線、高気圧、等圧線の位置を放送していきます。放送は次のようなものです。「千島近海の北緯46度、東経156度には980hPaの発達中の低気圧があって東北東に35キロで進んでいます。中心から閉塞前線が北緯44度、東経160度に達し、ここから温暖前線が北緯43度、東経167度にのび、寒冷前線が北緯40度、東経162度、34度、158度を通って北緯30度、東経151度に達し、さらに停滞前線となって北緯27度、東経145度、北緯25度、東経137度に達しています。中心から800キロ以内では15メートルから25メートルの強い風が吹いています。日本のはるか東の・・・」

 まず赤で北緯46度、東経156度に×印をつけ980、「L」または「低」と書きます。東北東向きの矢印を書きその近くに35kと書きます(移動速度が「ゆっくり」の場合はSLOW、SLW、ゆっくりなどと書く)。次に前線です。放送された地点を閉塞前線は紫の線、温暖前線は赤の線、寒冷前線は青の線、停滞前線は赤青交互の線で「なめらかに」つなぎます。(長い前線の場合は北側に向かって尖ったところができることもあります。)強風域については何も書かなくても良いし、余白に書くのもよいでしょう。きれいに書きたいなら放送時には通過地点にだけ×印を(どの前線の点か識別できるように)つけておき、放送終了後につないでいきます。完成は右図。

 なお、弱い熱帯低気圧はLまたは低のかわりに「TD」または「熱低」、台風は「Tn」(n は号数)または「台n」と記入する以外は低気圧に準じます。また低圧部とは熱帯地方に見られる、低気圧ほどは中心が明確ではなく(そのため「北緯12度、東経115度付近には・・・」と放送されます。)広い範囲に渡って気圧が低くなっている地域です。その位置に×印をつけない以外は低気圧に準じます。

 霧の海域、強風の海域については詳しく知らないので(霧域は黄色で、強風域は赤色で囲む。だったかな?)自分で勉強して下さい。

「モンゴルの北緯44度、東経109度には1,040hPaの高気圧があってほとんど停滞しています。・・・」

 青で北緯44度、東経109度に×印をつけ1040、「H」または「高」と書きます。停滞しているものは矢印のかわりにSTAYと記入します。(人によってはSTNR、STOP、停滞などとも書く。)

「日本付近を通る1016hPaの等圧線は北緯60度、東経150度、54度、144度、50度、146度、44度、143度、36度、145度、30度、136度、28度、128度、30度、119度、31度、109度の各点を通っています。」

 前線と同様に放送された地点を順に黒でなめらかにつないでいけばよいです。これで放送は終了です。

 あとは各地点の気圧データをたよりに4hPaごとに等圧線を引いていきます。20の倍数の等圧線は太くします。これで天気図は完成です。

 以下に実際に書いてみた平成11年2月27日6時の天気図を示します。

等圧線の引き方

ラジオたんぱの場合:

 これをしょっちゅう聞くのは酔狂ですよ。はっきり言って。

 ラジオたんぱの放送は朝早い。高層天気図の放送がない場合は一番はじめの番組なので注意が必要です。電波は放送開始5分前から出ています(鐘の音をバックにコールサインと周波数を放送しています。)ので、それでチューニングして下さい。私の知っている限りでは3.925MHzの聞こえが一番いいです。

 NHKとの違いを書いておきます。

 風矢羽や気圧をどうやって書けばいいのかという質問があるかも知れませんが、多分国際式の方法に従って(つまり天気だけ日本式で、残りはすべて国際式で)書けば良いでしょう。より酔狂度を高めたい方は頭の中でノット→風力の変換して完全日本式の記載をお試しください。


地上天気図の読み方

天気の解説

天気の移動について

 天気は基本的に西から東へ移動していきます。これは天気の変化の原因となる高気圧や低気圧が偏西風に流されて西から東へ移動するからです。天気(そして低気圧や高気圧)は日本くらいの緯度では1日あたりおおよそ1,000km移動することが分かっています。つまり大阪の天気は12時間後に東京に移動してきます。また鹿児島の天気は12時間後に大阪に、24時間後に東京に移動してきます。そして上海の天気は24時間後に鹿児島に、2日後には東京に移動してくることになります。ただし台風の接近時のように天気が西から東へ移動しないときもあります。また梅雨時や真夏や真冬には同じような天気が続きます。これは梅雨前線や夏の太平洋高気圧・冬の大陸の高気圧が偏西風に流されずに停滞するためです。

低気圧

 低気圧はまわりより気圧が低い地域のことで、天気図上に閉じた円形の等圧線が描かれます。その地域の気圧が何hPaかは関係ありません。低気圧は大きく分けて2つの種類に分けられます。1つは温帯低気圧であり、主に中緯度地方で発生します。もう1つは熱帯低気圧であり、ほとんどが熱帯地方の海上で発生します。

 低気圧には周囲から風が吹き込んでおり、これは低気圧の中心付近で上昇気流となって上空に放出されています。このとき地上から上空に水蒸気が運ばれるため雲が発生し、雨や雪が降りやすい状態になっています。また低気圧に吹き込む風は地球の自転によるコリオリ力によって、低気圧を中心に反時計回りに回転しながら吹き込んでいます。

温帯低気圧

 温帯低気圧は主に南北の温度差による大気の不安定(専門的には傾圧不安定といいます)が原因で発生します。そのため多くは南の暖かい空気と北の冷たい空気の境界に当たる中緯度の停滞前線上で発生します。

 暖かい空気は軽く、冷たい空気は重いために、暖かい空気は冷たい空気の上に這い上ろうとし、冷たい空気は暖かい空気の下に潜り込もうとします。前者の運動が活発な部分は温暖前線となり、後者の運動が活発な部分は寒冷前線となり、その交点には空気の渦ができます。この渦が低気圧となります。つまり前線上で発生した温帯低気圧は温暖前線と寒冷前線を伴っています。前線付近では上昇気流があるため、温帯低気圧では低気圧の中心付近だけでなく前線付近でも天気が悪くなるのが特徴です。

 低気圧は重い冷たい空気が下に、軽い暖かい空気が上に運動する際に解放される位置エネルギーを運動エネルギー(つまり風)に変えて発達します。すると最後には暖かい空気が地上からなくなり、地上は冷たい空気だけになってしまいます。この現象は閉塞と呼ばれ、天気図上では寒冷前線が温暖前線に追いついて閉塞前線ができることで表されます。閉塞を起こした低気圧はもう位置エネルギーを運動エネルギーに変えることができないので摩擦によって運動エネルギーを失っていき消滅します。

前線

 多くの場合、温帯低気圧は前線を伴っています。前線には4種類があります。温暖前線・寒冷前線・停滞前線・閉塞前線です。

 温暖前線は寒気のある場所に暖気が押し寄せ、寒気の上に這い上って形成されます。暖気は水蒸気を上空に運び、雲を発生させ雨を降らせます。暖気は寒気の上を這い上っていくのでできる雲は層状の雲になります。温暖前線が接近すると、まず上層雲があらわれ、続いて中層雲があらわれ、やがて雲が厚くなってきて、ついには雨が降り出します。雨は前線の前方300kmくらいから前線付近の間で降ります。温暖前線が通過するとその地域は暖気の中にはいるので気温が上昇します。

 寒冷前線は暖気のある場所に寒気が押し寄せ、暖気の下に潜り込んで形成されます。寒気が潜り込むとそこにあった暖気は強制的に上昇させられることになるので塔状の雲(積雲・積乱雲)ができます。寒冷前線の雨は雲が塔状であるために前線の前方70kmくらいから前線までの狭い範囲でしか降りませんが、暖気が垂直に激しく上昇するために突風や雷やひょうを伴った激しいものになります。寒冷前線が接近すると前線の方角に背の高い雲の列があらわれ接近してきます。そして雲がその地域に到達すると激しい雨が降ってきます。しかし雨は30分くらいで止んで晴れてきます。そして寒気の中にはいるために気温が下がります。

 停滞前線は暖気と寒気が接しているがどちらも勢力が同じ程度の場合に形成されます。暖気が寒気の上に這い上がり、寒気が暖気の下に潜り込んではいますがその運動が伯仲しているために前線が移動しません。多くの停滞前線の天気分布は温暖前線に類似し、前線から寒気側300kmくらいの範囲に雨を降らせます。しかし局地的に寒気の活動が活発になったりすると寒冷前線のような激しい雨を降らせることもあります。梅雨前線や秋雨前線は停滞前線に属します。

 閉塞前線は低気圧の閉塞によって形成されます。低気圧は地上の暖気が上空にあがることで発達するため、発達した低気圧では地上から暖気がなくなってしまいます。このとき寒冷前線は温暖前線に追いついた状態になります。こうなった前線を閉塞前線と言います。おいついた寒冷前線の寒気が温暖前線の寒気の上に這い上るか、下に潜り込むかで閉塞前線は2種類に分けられます。寒冷前線の寒気が温暖前線の寒気より暖かいと寒冷前線の寒気は温暖前線の寒気の上に這い上り、温暖型閉塞前線になります。逆の場合は寒冷前線の寒気は温暖前線の寒気の下に潜り込み、寒冷型閉塞前線になります。どちらの閉塞前線の天気分布も温暖前線と寒冷前線の天気分布を足しあわせたようなものになります。閉塞前線は寒気同士の接触でできている前線なので前後の温度差が小さく、時間が経つと熱拡散により温度差がなって消滅してしまいます。

熱帯低気圧

 熱帯低気圧は熱帯から亜熱帯の海上で発生する低気圧です。熱帯の強い日差しによって海上の空気が暖められ上昇気流が発生します。空気が上昇すると地上付近の空気が薄くなるのでそこは低気圧となります。また上昇気流で上空に運ばれた水蒸気から雲ができるときには熱が放出されるので、これは上昇気流をさらに強める働きがあります。こうしてできるのが熱帯低気圧です。熱帯低気圧が発達して中心付近の最大風速が17.2m/秒(風力8)以上になると台風と呼ばれるようになります。熱帯低気圧は暖かい空気だけからできているために前線を伴いません。熱帯低気圧は低緯度にある時には太平洋高気圧から吹き出す偏東風(貿易風)に流されて北西へ移動していますが、高気圧の西端まで来ると今度は北東へ向きを変えます。このことを転向といいます。熱帯低気圧は高緯度の海上や陸上では急激に衰退します。これは水蒸気の供給が減少するためです。また熱帯低気圧が冷たい空気のある地域に進入すると熱帯低気圧の暖かい空気が冷たい空気の上に這い上って前線が形成されます。しかし、こうなってしまうともはやこの低気圧は熱帯低気圧ではなく温帯低気圧に変わってしまいます。

高気圧

 低気圧とは逆に、周囲よりも気圧が高い地域で天気図上に閉じた円形の等圧線が描けるものを高気圧と言います。その地域の気圧が何hPaかは関係ありません。一般に高気圧からは周囲に風が吹き出しており、中心付近ではそれを補うために下降気流となっています。このとき上空から地上に水蒸気が運ばれるため雲は消散します。また高気圧から吹き出す風は地球の自転によるコリオリ力によって、高気圧を中心に時計回りに回転しながら吹き出しています。高気圧の周囲はかならずしも天気が良いとはかぎりません。一般に高気圧の南側にはさらに南にある暖かい空気との間に停滞前線が形成されていることが多く、また西側には低気圧があって、その温暖前線の前面にある雲が届いていることが多いからです。


高層天気図の書き方

 高層天気図というものの存在を知っている人は多くはないと思います(新聞「赤旗」には、なぜか載っているようですが)。高層天気図は上空の気圧配置をあらわしたもので地形の影響を受けない気象データとして重要です。また低気圧や高気圧は上空の風にながされて移動し、また上空の気圧配置によって発達もしくは衰退するので長期(数日から1週間後)の予報に重要なデータを提供します。観測はレーウィンゾンデやラジオゾンデと呼ばれる計器をのせた気球を打ち上げて行っています。(たまに使用済みのものが道ばたに落ちているらしい:欲しくなってくる・・・)

準備

 必要なもの:短波ラジオ・天気図用紙No.3・黒/赤/青の筆記用具

 高層天気図を書くために必要な情報は次のラジオ局で放送しています。

 ラジオたんぱ第1(JOZ,JOZ2-4) 5:20-5:30(夏・冬のみ) 700hPaの前日21:00の情報

 山岳気象通報ともいいますが、夏(7/15~8/15付近)、冬(12/15-1/15付近)にだけ放送されます。正確な日程はラジオたんぱのホームページの番組表を参照して下さい。周波数はJOZ(3.925MHz)を選択するのが多分一番よいと思われます。もっとよいのは衛星放送(デジタルたんぱ)ですが、くわしくは知りません。高層天気図には850hPa、700hPa、500hPa、300hPa、・・・といった種類がありますが、放送されているのは700hPa(高度約3,000mに相当します)のものだけです。この高さの高層天気図は低気圧・高気圧の発達・衰退や今後の動きといった挙動を見るのに適しています。廃止の噂があるけど(実際2001年頭に廃止ってニュースが出てたし)何とかもって欲しいところです。

書いてみる

 まずはじめが各地の実況の放送です。「アンガルスクでは入電なく推定で西北西の風、30ノット、高度2,870メートル、気温-24℃。・・・」

 風のデータが地上天気図の風力ではなく風速で放送されます。矢羽の記入方法ももちろん違います。記入方法は天気図用紙No.3の右下を参照して下さい(国際式と同じです)。また気圧のかわりに高度が放送されます。これは地上から気球をあげていったときに気圧が700hPaまで減少する高さです。

 高度が高いところは高気圧、高度が低いところは低気圧になります。これを理解するためにはまず大前提として、地上からの高さが高くなるほど気圧は下がることを頭にいれておきます。そこで、たとえば周囲が3,000mで700hPaの場合について考えてみます。ある地点が3,200mで700hPaになっていたとすると、この地点の3,000mでの気圧は700hPaより高いはずです。つまりこの地点の気圧は同じ3,000mで比較すれば周囲(700hPa)より気圧が高いので高気圧になります。同様に2,800mで700hPaになる地点は、同じ3,000mで比較すれば周囲より気圧が低いので低気圧になります。

 各地点の実況は次の順に放送されます。入電がなくても推定値がある場合にはそれが放送されます。

 イルクーツク(またはアンガルスク)、チタ、ウランバートル、フホホト、シリンホット、ハイラル(またはブラゴ)、長春、北京、大連、シーアン(またはチェンチー)、ハバロフスク(またはイマン)、ウラジオ、ピョンヤン、上海(またはクシーアン)、那覇、鹿児島、潮岬、米子、輪島、館野、秋田、札幌、父島、富士山。

次が気圧配置です。低気圧・高気圧の位置と示度、主要な等高度線を放送します。等高度線は地上天気図の等圧線に対応するものです。「低気圧は北緯50度、東経135度に2,530メートルのものがあります。一方高気圧は北緯20度、東経152度に3,120メートルのものがあります。次に気圧の谷は北緯40度、東経126度から36度、123度を通って、北緯33度、東経119度にのびています。・・・」

 低気圧は赤で中心の位置に×印とLと書き、またその示度を記入します。高気圧は青でHを書きます。気圧の谷(トラフ)は赤の二重線であらわし、気圧の尾根(リッジ)は青のノコギリ線であらわします。気圧の谷とは高度の低い部分が高緯度もしくは低気圧から南に張り出している部分であり、気圧の尾根とは高度の高い部分が低緯度もしくは高気圧から北へ張り出している部分のことです。よって等高度線は気圧の谷や尾根のところで折れ曲がります(ちょうど地上天気図の前線で等圧線が曲がるのと同じです)。等高度線は3,000メートルを中心に60メートルごとに実線で引き、300の倍数の線は太くします。

最後が気温の状態です。暖気と寒気の中心と示度、主要な等温線を放送します。「北緯53度、東経131度に-28℃の寒気があります。一方北緯17度、東経146度に6度の暖気があります。・・・」

 寒気は青で中心の位置に×印とCと書きその示度を近くに示します。暖気は赤でWと書きます。等温線は0℃を中心に3℃ごとに点線で引きます。一般に低気圧または気圧の谷はその西側に寒気を伴っており、高気圧または気圧の尾根は西側に暖気を伴っています。

 最後に各地の高度、気温のデータからすべての等高度線、等温線を引けばできあがりです。なお(北半球の)高層天気図には「風は等高度線に平行に、右手に高気圧を見る方向に向かって吹く(地衡風の性質)」というルールがあり、地点数が少ない地域では重要です。なお地上天気図にも似たルール(ボイス・バロットの法則)がありますが、陸上では地形の影響でほとんど役に立たないです。

 以下に実際に書いてみた平成11年7月27日21時の天気図を示します(ちょっと胡散臭い部分があるが・・・)。なお、天気図中の黄海の低気圧は台風5号、華南の低気圧は台風6号です(台風や熱帯低気圧も高層天気図ではただの低気圧としか放送されない)。


高層天気図の読み方

高層天気図の種類

 高層天気図にはどの高さで天気図を作ったかによって種類があります。気象庁では4つの天気図(850hPa天気図、700hPa天気図、500hPa天気図、300hPa天気図)を公開しています。

 850hPa天気図:850hPaは高度約1,500m、対流圏最下層部に対応します。この高さはほぼ地表の影響がなくなる最低の高さに相当します(山地の影響は残る)。このため気温が日射の影響を受けにくくなり、冷たい空気と暖かい空気の境界(すなわち前線)が明瞭に現れます。それ以外は地上天気図に良く似ています。

 700hPa天気図:ラジオ放送で作成できる唯一の高層天気図です。700hPaは高度約3,000m、対流圏の下層に対応します。日本付近では一部の高山を除いて地上の影響はなくなります。この高さになると低気圧、高気圧のような閉じた等高度線は少なくなり、代わって後に述べるような東西に走る等高度線が基本の型になります。また前線も不明瞭になります。しかし、地上の低気圧、高気圧に対応して気圧の谷、尾根が現れるので地上天気図との対応はつけやすいです。水蒸気量や鉛直流速度などから降水地域の予想を行うのに重要な天気図です。

 500hPa天気図:500hPaは高度約5,500m、対流圏の中層に対応します。世界でも特に高い山脈・高原のみの影響しか残りません。この高さでは地上の特に強い低気圧、高気圧に対応した気圧の谷、尾根しか現れません。そのかわりに後で述べるような寒気や暖気の移動に伴う切離低気圧、切離高気圧が明瞭に現れます。低気圧・高気圧の移動や発達のほか、日本全国に影響するような大規模な現象(冬の寒気の吹き出しによる大雪、発達した低気圧・前線による大雨、台風の進路など)の予想に重要な天気図です。コンピュータによる予報での主力になる天気図でもあります。

 300hPa天気図:300hPaは高度約9,000m、対流圏の上層に対応します。もはや高い山脈の影響もほとんどない高さです。この高さではジェット気流(特に強い偏西風帯)の流れが明確に現れ、また切離低気圧、切離高気圧が500hPaより明瞭に現れることが多いです。航空機の運行に利用される他、低気圧の発達しやすい地域や移動経路、大規模な前線(特に梅雨前線)の挙動を予想するのに使われます。

 これより上層の200hPa(高度12,000m、圏界面付近)、100hPa(高度16,000m)などの天気図は国際線ジェット機の運行に重要であるとともに、長期予報に利用されています。またさらに上層の50hPa(高度20,000m)、30hPa(高度24,000m)、10hPa(高度30,000m)の天気図は季節の変化と傾向(いつ頃から暖かくなるとか寒くなるとか、暖冬だとか冷夏だとか)を予報するのに利用されます(が観測データ自体が少なく、それゆえ予報の確実性はあまり高くないのが現状です)。

高層天気図の基本型

 対流圏内においては、赤道では地上付近の空気は暖められ軽くなって上空に運ばれてたまり、極では地上付近の空気が冷やされ重くなって地表にたまります。よって高層においては赤道付近が高気圧、極付近が低気圧となり、等高度線は緯線に沿って東西に走ることになります。そして地衡風の性質から中緯度では等高度線に沿って西風(偏西風)が吹くことになります。これが高層天気図の基本型です。しかし多くの場合、等高度線は南北にうねって走ることが多いものです。等高度線が南にうねっている場合、極の低圧部(と冷たい空気)が南下していることになるのでここを気圧の谷(トラフ)といい、等高度線が北にうねっている場合には赤道の高圧部(と暖かい空気)が北上していることになるのでここを気圧の尾根(リッジ)といいます。普通、気圧の谷は地上の低気圧に、気圧の尾根は地上の高気圧に対応しています。高層天気図では地上天気図の低気圧や高気圧のような閉じた等高度線が描けることは少ないですが、描けた場合にはやはり低気圧、高気圧と呼びます。

低気圧と高気圧の背の高さ

 高層天気図上に地上の低気圧や高気圧に対応した低気圧・気圧の谷や高気圧・気圧の尾根が描ける場合、この低気圧や高気圧は背が高いと言われ、勢力が強いか、今後発達が予想されるものです。逆に地上では低気圧なのに高層では気圧の尾根になっていたり、地上では高気圧なのに高層では気圧の谷になっている場合、この低気圧・高気圧は背が低いと言われ、勢力が弱いか、衰弱過程にあるものです。

低気圧と気圧の谷

 低気圧の発達・衰弱と気圧の谷は非常に密接な関係があります。気圧の谷の前面では南西の風が吹いているため南の暖かい空気が北の冷たい空気のあるところへ運ばれ(暖気移流)、後面では北西の風が吹いているため北の冷たい空気が南の暖かい空気のあるところへ運ばれます(寒気移流)。前者は温暖前線に、後者は寒冷前線に対応することが分かります。気圧の谷が停滞前線の上を通過すると、この移流によって停滞前線は温暖前線と寒冷前線に変化し、低気圧が発生することになります。

 気圧の谷の前面では暖かい空気が冷たい空気のあるところへ運ばれてくるので、暖かい空気は上に這い上がることになります。つまり気圧の谷の前面には上昇気流が存在します。逆に気圧の谷の後面には下降気流が存在します。もし地上の低気圧が気圧の谷の前面(東側)にある場合には気圧の谷の前面の上昇気流の効果によって低気圧自身の上昇気流が強められ、低気圧は発達します。逆に地上の低気圧が気圧の谷の後面(西側)にある場合には気圧の谷の後面の下降気流が低気圧自身の上昇気流をうち消して、低気圧を衰弱させます。つまり低気圧と気圧の谷の位置関係からその低気圧が今後発達するかどうかが予報できます。

ブロッキング現象

 等高度線(または偏西風)は数週間の周期でその南北のうねりを大きくしたり小さくしたりしています。しかしときには、うねりが非常におおきくなり、うねりの先端に一対の低気圧と高気圧ができてうねりから独立し、うねりの振幅を無理矢理小さくすることがあります。この現象をブロッキング現象といいます。ブロッキングというのは正常な偏西風の流れがブロックされたように見えることからつけられた名前です。ブロッキングによって偏西風から切り離された低気圧を切離低気圧(カットオフ・ロー)またはブロッキング低気圧(あまりこういう風には呼ばないようだ)、高気圧を切離高気圧(カットオフ・ハイ)またはブロッキング高気圧といいます。切離低気圧は中心に寒気を、切離高気圧は暖気を伴っています。切離低気圧はゆっくりと南東へ、切離高気圧はゆっくりと北西へ移動することが多く、正常な西から東への天気の変化を妨害し、また通過する地域に異常な高温と晴天(切離高気圧の場合)や異常な低温と悪天候(切離低気圧の場合)をもたらしたりします。

寒冷低気圧・寒冷渦

 切離低気圧は中心に寒気を伴っていますが、特に寒気が顕著な場合、寒冷低気圧(コールド・ロー)、または寒冷渦(コールド・ボルテックス)と呼ばれることもあります。これらは地上天気図には現れないか、もしくは小さい低気圧としてのみ解析され、上空にいくほど強い低気圧として解析されます。寒冷低気圧が接近すると上空に寒気が入り込むことになります(このように上空に寒気(重い)が、地上に暖気(軽い)がある場合、「大気が不安定である」といいます)。寒気は重いため地上へ沈み込もうとし、代わりに地上の空気が上昇します。つまり上昇気流が起きて、そこには塔状の雲が発生し雨を降らせることになります。この雨は寒冷前線の雨に類似し突風や雷、ひょうを伴います。しかし、寒冷前線と違い上空の寒気(=切離低気圧)がゆっくりと移動するのでこの雨は数日間、断続的に降ることが多く災害の原因になります。

雨と雪の境目・日本海側の大雪の目安

 日本付近の緯度の500hPaくらいの高さではほとんど一年中氷点下の気温となっています。つまり背の高い雲はみな氷の粒を含んでいると考えてよいでしょう。これらの雲から降ってくる雨は途中で氷が溶けて水になったものなのです。溶けて雨になるか、氷のまま降って雪になるかは上空または地上の気温で決まります。地上で3℃、850hPaで-6℃、700hPaで-15℃、500hPaで-27℃が雪に変わる境界と言われています。

 また冬の日本海側にはシベリアからの季節風によって雪が降りますが、上空に寒気(特に寒冷渦)があると平野部でも大雪になります。その目安は西日本で500hPaで-30℃、東・北日本で-35℃と言われています。さらに5℃低くなると豪雪の可能性があります。


国際式天気図

 一般に私たちが新聞などで見たり、NHKの気象通報で書いたりするのは日本式天気図と呼ばれるものです。これに対して気象庁など予報業務を行っているところでは国際式天気図と呼ばれるものを使用しています。具体的にどのようなものかは下のリンクからこれを掲載しているページにいって見れば分かります。国際式天気図(海面)は日本式天気図よりはるかに多くの情報が書かれています。ここではこの国際式天気図の読み方についてを書いておきます。(ちなみに気象予報士資格を取ろうという方は必修事項です。たぶん)

 ひとつづつ項目を説明していきましょう。なお、天気図によっては必ずしもここにあげてある全ての情報が記入されてはいません。

低気圧はL、高気圧はHで表記されます。前線等の記号は日本式と同じです。

弱い熱帯低気圧はTD(最大風速33ノット以下)、台風はその強さによってTS(最大風速34~47ノット)、STS(最大風速48~63ノット)、T(最大風速64ノット以上)と表記され、後ろに西暦年の下2ケタと号数がつきます。例えば2001年の台風26号はTS0126という感じに表記されます(TSの部分は台風が強くなるにつれてSTS、Tと変わります)。

また海上警報としてFOG(濃霧:視程500メートル以下)、ICE(着氷)、SW(強風:風速34~47ノット)、GW(暴風:風速48~63ノット)、TW(台風:風速64ノット以上)があり、現在もしくは24時間以内にその現象が起こる予報の出ている地域に表示されます。


その他の天気図

 その他にもいろいろな天気図があります。

雲画像・雲画像解析情報図

 気象衛星ひまわり5号(GMS-5)は1時間ごとに緯度0度、東経140度を中心とする地球表面のおおよそ半分を観測しています。観測は可視チャンネル、赤外チャンネル、水蒸気チャンネルの3つで行われます。可視画像は太陽からの光の反射を観測しており、厚い雲ほど白くはっきりと写り、薄い雲や霧は半透明(灰色)に見えます。また積雪や流氷・砂嵐なども太陽光を反射するので白く写ります。夜の地域は太陽光が当たらないので観測することができません。赤外画像は熱を持った物体が放射している赤外線を観測しており、雲がある場所では雲の温度が、雲のない場所では地表の温度が分かります。温度の高い場所(雲)は黒く、温度の低い場所(雲)は白く写ります。白い雲ほど温度が低い、つまり高いところにある雲ということになります(テレビの天気予報で目にするのはこの赤外画像です)。地上に近い雲や霧の温度は地面の温度とほとんど同じため、雲がない状態と区別がつきません。水蒸気画像は大気中の水蒸気が吸収する赤外線を観測するもので、水蒸気が多い地域ほど白く写ります。水蒸気が多い地域には活発な雨雲が存在していることが多いです。

 雲画像情報解析図は気象衛星から送られてきた3つの雲画像と地上観測を解析してどこにどんな雲があるかを表した天気図です。前線や低気圧・台風の位置などを雲の配列から知ることができます。また高層の気圧の谷や切離低気圧、ジェット気流の位置も分かります。それから集中豪雨をもたらすような積乱雲の雲列などの存在を知ることができます。

アメダス・レーダーアメダス解析雨量図

 アメダス(AMeDAS:自動気象データ観測システムの略)は20km弱ごとに配置されている無人気象観測装置で風向・風速・気温・降水量・日照時間・積雪量を観測しており、1時間ごとにデータをプロットした天気図が発表されています。特に重要なのが降水量であり、これは集中豪雨のような局地的な大雨の存在とその広がりや激しさを知るのに役立ちます(雲画像では激しさがどれくらいかを知るのは難しい)。しかしアメダスには陸上にしか設置できないという欠点があり、大雨の雲が海上から接近すると上陸前に知ることができません。日本はまわりがすべて海なのでこれは大きな問題です。

 そこで使われるのが気象レーダーでこれは電波を周囲に発射して雨滴によって反射されて戻ってくる電波を検知して、降水の存在を知る観測方法です。激しい雨ほど強い反射を観測できるので雨の強さも知ることができます。またアメダスよりも分解能が高く、5kmくらいごとのデータが得られます。しかしこの方法には、弱い雨は感知できない、山などに当たって戻ってくる電波もあるので誤差が出やすい、山や強雨域の向こう側にある雨の観測はできない(電波が届かないため)といった欠点があります。しかし、これらの欠点はアメダスのデータによって補うことができます。そこで気象レーダーの観測をもとに、その誤差をアメダスのデータで補正した雨量分布図が公表されています。これがレーダーアメダス解析雨量図です。

渦度分布図

 水の流れを考え、その流れに軽い棒を浮かべたときのことを考えます。ある場合には棒はそのままの向きで下流に流れていくでしょう。しかし、ある場合には棒は回転しながら下流に流れていくでしょう。棒を回転させるような流れは曲率を持っているか、速度差(シアー)を持っています。このような棒を回転させるような流れには「渦度」があるといいます。棒を反時計回りに回転させるような渦度は正であり、時計回りに回転させるような渦度は負です。また棒が速く回転するほど渦度が大きいといいます。空気の流れ(つまり風)にも渦度が存在します。このとき「正の渦度」は低気圧や気圧の谷に対応し、「負の渦度」は高気圧や気圧の尾根に対応します。この渦度を地図上にプロットしたものが渦度分布図(普通500hPaのデータが発表されています)です。風下に向かって渦度が減少する場合、その地域は上昇気流が存在し、また増加が急なほど上昇気流も強いことが分かっています。この地域は低気圧が発達しやすい地域になります。一方、風下に向かって渦度が増加する場合には下降気流が存在し、その減少が急なほど下降気流は強いのです。この地域は高気圧が発達しやすい地域になります。また渦度が0のラインはジェット気流などの強風域に対応することが多いです。

鉛直流速度分布図

 大気の上昇気流や下降気流の強さを観測データから推定して天気図にしたものです(普通700hPaのデータが発表されています)。上昇気流のある地域は雲が多く、雨が降りやすい地域に対応し、下降気流がある地域は晴天の地域に対応することが多いものです。帯状の上昇気流のある地域は前線に対応します。また低気圧の中心の上昇気流の強さは、今後低気圧が発達するかどうかの指標になります。重要なことは値が正の場合が下降気流で、負の場合が上昇気流になるということです。これは単位がhPa/hourで、そこの空気の塊が1時間に何hPa気圧が変化したかであるためです(上昇気流がある→空気の塊は上空に運ばれる→空気の塊の気圧は下がる→値は負)。

風・相当温位分布図

 まずある空気の相当温位とは、その空気に含まれる水蒸気をすべて凝結させたのち、その空気を1000hPaまで断熱変化させたときの温度です。水蒸気を凝結させると熱が放出されますから、その空気は暖かくなります。よって相当温位が高いところは「暖かく湿った空気」が存在するところです。この言葉は梅雨時に集中豪雨が起こりそうなときに天気予報でよく聞かれます。この天気図から集中豪雨が起こりそうな地域を予想することができます(普通850hPaのデータが発表されています)。また前線が等温線だけの通常の高層天気図よりも明瞭に現れることが多く、前線の位置の決定にも便利です。

卓越天気予想図・降水量予想図・降水確率分布図

 卓越天気予想図はある地点に発生する可能性が最も高い天気をプロットしたものです。予想される天気は晴れ・くもり・雨・雨または雪・雪のいずれかです(雷とか霧は予想しない)。

 降水量予想図はある地点から150km程度の範囲内に平均して何mmの雨が降るかを表しています。降水確率分布図は同様にある地点で1mm以上の雨(雪・ひょうなどを含む)が降る確率の分布を表しています。

 ここでしばしば誤解されている降水確率についてちょっと詳しく述べておきましょう。降水確率とは「指定された地域で指定された時間内に1mm以上の雨が降る平均確率」とされています。この定義に充分に注意する必要があります。

 まず「指定された地域での平均確率」という言葉に注意しましょう。例えば東京23区の降水確率が10%だからといって新宿の降水確率が10%とは言えません。新宿の降水確率が100%でも他の23区内の9地点の降水確率が0%ならば東京23区の降水確率が10%になってしまうからです。規模の小さい雨雲が通過する場合にはこの類の事象が起こります。まあ、実際にはメソスケールの予報は小さい雨雲がヒットする地点を正確に予測できるほど良くないので近距離にある2地点の降水確率がそんなに極端に大きく異なることはほとんどないでしょうが。

 次に「指定された時間内に」という言葉に注意します。予報の定義によると、明日の午前6時から午前9時までの3時間の降水確率が100%、午前9時から午後6時までの9時間の降水確率が0%ならば、明日の午前6時から午後6時までの12時間の降水確率は100%になります。午前9時以降に外出する人には降水確率が100%なのに傘がいらないという事態になるわけです。降水確率が高くても雨の降る時間が長くなるとは限らないわけです。

 さらに「1mm以上の雨が降る確率」という点に注意します。1mm以上の雨というのは単純に庭にタライを置いておいたら1mm以上の深さの水がたまるということです。雨の総量が1mmであっても300mmであっても1mm以上の雨であることには変わりませんから区別していません。降水確率が高くてもたくさん雨が降るわけではないのです。また、同じ1mmの雨であってもどれだけの時間をかけて降るかでかなりイメージが違ってきます。1時間に1mmの雨はやや弱い雨ですが、10分間に1mmの雨が降ればかなりの激しさになります。よって降水確率が高くても激しい雨が降るわけではないのです。

 そして、定義とは別ですが降水確率は発表されるときには一の位を四捨五入して発表されることに気をつけましょう。降水確率0%と発表されたとき絶対に雨が降らないわけではなく、あくまで降水確率5%未満だということです(昔はちゃんと5%未満と言っていたそうですが)。降水確率0%でも20回(以上)に1回は雨が降るわけです。逆に降水確率100%でも20回(以上)に1回は雨が降らないわけです。

 最後に降水確率の意義について。降水確率は天気予報がはずれることを前提に考え出されたものです。雨が降ると損害を受けるようなイベントを考えます。もし、天気予報が雨が降る、降らないだけの予報の場合、「雨が降らない」という予報がはずれるとこのイベントは確実に損害を受けます。しかし、降水確率予報により例えば降水確率が50%以上なら雨に対する対策を用意するとしておけばそれよりは損害額を押さえることができます。このとき「雨に対する対策費/対策なしの場合に雨が降ることによる損害額」を降水確率が上回った場合に対策をとると、長期的には最も損害が少なくなるようになっています。例えば、雨への対策費が10万円、対策をとらずに雨が降った場合の損害が50万円というイベントを毎週開催する場合、降水確率が10/50=0.2=20%以上の日には対策を講じるようにすれば損害額が最小になるわけです。

 外出する人は「傘を持つことによる損害」と「雨に濡れることによる損害」の比率を考えてから、降水確率を見て傘を持っていくようにすればよいことになります:傘を持つことによる損害が0ならいつも傘を持っていればいいし、濡れるのをまったく気にしない人は降水確率100%でも傘はいらない・・・

他にも波浪予想図とか航空機用の天気図とかがあります。


気象情報へのリンク

 私がよく利用する実況・解析・予想気象情報(気象FAX・AMeDASデータ・ひまわり画像等)を公開しているページへのリンクです。参考になるように私が各ページでどのデータを見ているかということを書いておきます。(書かれている以外にもさまざまな情報が掲載されています。)ほとんどのページは普通の天気予報も載っています。


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