The Abyss of Academic Chemistry

さて、また黒猫君がやってくれます。ぷぷぷにゃ~。超批判的化学四方山話のはじまり~。

そのときイエスは群衆と弟子たちに話をしてこういわれた。
律法学者、パリサイ人たちはモーセの座を占めています。
ですから、彼らがあなたがたにいうことはみな、行いなさい。
けれども、彼らの行いをまねては行けません。彼らは言うことは言うが、実行しないからです。
また、彼らは重い荷をくくって、人の肩に載せ、自分はそれに指一本さわろうとはしません。
彼らのしていることはみな、人に見せるためです。経札の幅を広くしたり、衣のふさを長くしたりするのもそうです。
また、宴会の上座や会堂の上席が大好きで、広場であいさつされたり、人から先生と呼ばれたりすることが好きです。
しかし、あなたがたは先生と呼ばれてはいけません。あなたがたの教師はただひとりしかなく、あなたがたは皆兄弟だからです。

マタイの福音書 23:1~8より引用

Dはど~れいのD~。

 はい、化学系ドクターコースの学生を揶揄するドレミの歌の非常に有名な替え歌です。

 たまに誰彼かまわずドクターコースを妙に勧める教官がおりますが、彼らがドクターコースの魅力というものを学生に伝えられているかというと、とてもそうとは言えませんな。ここは超批判的な場なのでドクターコースの魅力について主張するのは彼らにまかせて、欠点だけを挙げ連ねて置きましょう(爆)。さ~て、本当にドクターは奴隷なのでしょうか?(少なくとも研究室にとって無給で使うことが可能な労働力であることは疑いないが。)

ドクターは出たけれど・・・

 ドクター出た場合、就職先は極めて限られるんですね~。企業への道はほとんど閉ざされます。まあ一応、企業の方からある技術を持った人間が欲しくて研究室に打診してくることはありますが、こちらから就職活動でアプローチするのはほとんど不可能です。企業にしてみれば敢えてドクターを採用する理由がなければ、なんで新入社員に修士卒の4年目と同じだけの給料を払わなあかんのやと考えるので、当たり前といえば、当たり前ですが。それから外資系の企業の中にはJapanese HAKASEハダメネ~と言わんがばかりに、外国でPh.D.を取った人ばかり採用しているところもあるそうです(これはそもそも日本の博士と外国のPh.Dが何に対して付与されているかという違い:後述が影響していると思う)。こういう企業に行きたいなら留学しないとだめですね。企業以外の就職先には理研や相模中研といった研究所や通産省の工業技術院のようなところがあります(っていうか、しかないというべき)。相模中研とか理研は年俸契約で成果出せないと首切られますから(再就職先を考えると)きついですね。あと大学に残って助手になるというのもポストが空いていれば可能ですがね。ただ国立の機関への就職は、国がドクター&ポスドクの増員(いわゆる大学院重点化)と公務員の定員削減(いわゆる独立法人化)という就職先のパイが小さくなる施策をとっているために厳しくなっているのが現状ですな。企業が採用してくれるようなドクターを育てるように大学の研究&教育が変化しない限り、ドクターの就職氷河期は続くというわけ。

生涯の収入についての考察

 ドクター出て就職した場合、多くの企業では修士卒の4年目と同じだけの給料を払うのが普通です。それ故生涯の収入は修士卒よりも単純に3年分減ります。1月の手取りをおおざっぱに15万と見積もると15×36=540万円(+ボーナス)の損失になるわけです。さらにドクターは別に講義を受けているわけでもないのに授業料を大学に納めなくてはなりません。比較的授業料が安い国立でも年間約50万、3年間で150万円の損失です。まあ、この損失を補填するために科学技術振興事業団が「学振」なるお金を出してくれる(1月あたり20万くらい)のですが、これに通るかどうかは教授のパワーと多少の運に左右され、だれでも通るわけではないので期待しないように。日本育英会の奨学金(1月あたり10万くらい)もあります。ただし基本的には貸与なので注意しましょう(15年間指定の研究所などで働くと全額返還免除・・・しかし育英会自体がおそらくは廃止されるので今後この免除は全廃される可能性も高い)。あと、企業に就職を決めておけば奨学金を出してくれるところもあります。当然のことながら、これも企業側から打診がなければ基本的に応募不可能です。

自分のやりたい研究ができるか?

 ドクターになると自分で考えたテーマに沿って好きに研究できると考えている人もいるようですが、そうは問屋がおろしませんのよ。一般的に言って研究室は教授-助教授-講師-助手-学生という美しい(爆)ピラミッド構造をしており、上との意見の対立には事欠きません。さてドクターくらいになると自分で研究方針をたてるものですが、大抵は上の意向と多かれ少なかれはずれているものです。そうすると、まあ上を説得することになるわけです(口論ではなく、あくまで説得です(爆))。しかし、時々とんでもなく頑固な厄介者がいるので、その場合あきらめて上の方針に従うか(しかしこの方針がトンデモ本の世界のものであるという使えねぇ~教授もいるという話だが。)、裏で闇実験するかという選択になるわけです。(それで闇実験でいい結果を出すと、その頑固なのがうってかわって、今度はさもそれを自分が昔から考えていたがごとく語りだし、自分の手柄であるかのようにのたまう邪悪なのもいるわけだ(核爆))これは助手として大学に残っても同様らしいので、なるべく物分かりの良い教授のところへ行くように気をつけましょう。でもそういう条件の良いポストは(そういう教授はそういう良い評判が流布しているので)当然競争率が高いであろう。

サービス残業?

 まあ、生涯の収入もそうですが、一般的に言って(有機化学の)研究室の労働条件というものはまあ最悪の部類に属するものでしょう。もし企業だったら即座に行政指導もののところが多々あります。週休1日は当然、俗にセブンイレブン(朝7時から夜11時まで)などと揶揄される研究室も存在しているようです(休憩を1日あたり2時間換算しても週84時間労働:戦前のようだ)。まあ、好きでやっているのならいいですが強制だとたまったものではありませんな。倒れても労災がついたりするわけでなし。ただ、週休2日の平和な研究室とかもないわけではありません。しかし、この場合も次の項目の問題点があります・・・

ドクターコースは本当に3年か?

 ドクターコースの卒業の条件は大学によって違いますが、3報程度の論文が雑誌に掲載または受理されて、かつ5人程度の審査員によって博士論文を審査して合格することです。ここで雑誌に論文が掲載される程度、もしくはそれ以上の「成果」が求められていることに注意する必要があります。つまりいくら一生懸命やっても成果がでていないとドクターコースは出られないのです。(逆に成果が出ていれば短期間で卒業を認める大学も存在しますが。もっとも成果が出ているかどうかを判断するのは自分ではなく指導教官なので、指導教官のさじ加減で卒業時期を左右できるという恐ろしい問題が存在している。特に人手不足の研究室は要注意・・・。この辺は後述のFirst Author問題と同様に倫理感の問題だが。)そこで手っ取り早く成果が出るような研究方針をたてるとこれが上の意向と対立を生んだりするわけです。そういうわけで週休2日を謳歌するのは難しいことでしょう(蟻のように働きましょう(爆))。またいくら成果が出てもオリジナリティーに欠ける研究をするとクレームが付いたりすることもあります。私個人の意見としてはまぢに役に立つものが開発できたならマネマネでも全然構わないと思うが、どーせほとんどの研究は役に立たないんだからせめて独創性くらいは持っていてくれないと(笑)。結果、留年してしまうと奨学金はパアになってしまうので経済的にも苦しくなります。よって最初のテーマの選定が実に重要になるわけですが、このテーマが教授の趣味(興味があること)だけで決まることがあって困るわけです。

裏技:論文博士

 実はドクターコースに行かないでも博士号を得る裏技がありまして(笑)。すぐれた論文を6報程度(つまりコースの2倍くらい・・・ただしその人の研究者として仕事した年数にもよる)書いて、それを博士論文にまとめて大学にて発表し審査していただきます。審査に合格すると博士号が得られます。本来はコース在学中に論文を出すほどの成果をあげることが非常に困難な文学博士とかを出すための制度らしいです。これは日本独特の制度で外国にこの制度は存在しません。そもそも日本の博士は「研究成果」に対して付与され、外国のPh.Dは「研究の企画立案能力」に対して付与される(それゆえに新しい研究計画を立てるという試験があったりする)という違いがあります。研究企画立案能力ならどの分野でも3年で大抵は身に付くといえるでしょうからこの制度は不必要なわけです。一見、この論文博士取得はコースよりも楽が出来るように見えます。しかし企業は特許は書きますが、論文はあまり書きません。なので6報というのはかなりきついかも。レフェリーの突っ込みに耐えうるだけのデータを揃えられる研究はそんなに無い上(論文のデータを揃えるためだけの研究に貴重な資本と時間を投下するのは企業にとってあまり利点になることはないですから)、論文として公開して良いのはライバル企業とかに知られても問題なしと認定された研究ですからかなり限定されます。まあこの点については特許を成立させられれば発表しても無問題になるわけですが、特許出願から成立まではどんなに急いでも2年はかかるので論文発表する旬を逃してしまうこともままあります。ということでなかなか論文を書くこと自体が大変です。それにチームを組んでやった仕事の論文で博士号を取得しようとする場合、チーム内に博士取得希望者が複数いる場合には限られた論文を誰が使うのかも良く調整しないといけません(2人が同じ論文を審査に使って博士号を取得することはできません。これはコースでも同じですが。)。いずれにせよこの方法での博士号の取得を考えているときは、過去にその企業で論文博士を取った人がいるかどうかを確認しておきましょう。まあ、企業で博士号を持っていても幸せになれるとは限りませんがね(海外の研究者と技術交流する場合にドクターをもっていないと相手にされないという話があるが、そんなに多くの企業が何人もドクターが必要なほど海外と技術交流してるかね?)。

「雨ニモ負ケズ、風ニモ負ケズ」

 ってなわけで、ドクターコースにはこれだけの欠点が存在しています。まあ、それでも企業と違って実用とは縁遠いような純粋に自然の仕組みを研究したり、未来に応用への基礎となりうるような研究ができるという魅力も一応はあるわけです(あ、魅力言っちゃった)。あなたがこれらの欠点を大したことではないと考えて魅力に惹かれるならばドクターコースに向いていると言えるでしょう。ま、それでも指導教官はちゃんと選ぶべきだな(ここで奴隷となるか否かが決まるであろう)。あと企業の人間関係がわずらわしいからドクター進学がいいとか言っている人がいたかもしれないが、私が見るに大学の人間関係も相当わずらわしいと思う。何しろ年に1回、日本化学会春季年会にほとんど全員勢揃いしてしまうような狭い世界。一回人間関係崩すと大変ですぞ。最後に、教授の皆様もドクターを勧める相手を良く選びましょうね、私みたいのじゃない学生を(笑)。

はじめに論文ありき

 「はじめに言葉があった」のは聖書ですが(ヨハネの福音書 1:1)。「論文書くから、成果だせ。」という訳わからんことをいう教授がいて困ったものです。そういうのを「とらぬたぬきの皮算用」というのだよ。「成果が出たから、論文書くんだろ。」と言い返してやりたいところですが学生の立場では如何ともしがたいところ。大学の研究が税金で行われている以上は結果を公知させる必要性があるのは確かなんですが、論文出して自分の名前を売ることばかり考えているとしか思えない教授がいるんですね。もう少しスポンサーである日本国民様と手足となって働く学生達に対して謙虚であるべきですな(国民の皆様の血税を使って、かつ無料の労働力の学生を使って、将来役に立つかどうか分からない研究をしているのですからな)。こういう教授の論文には大した成果の出ていない論文がたくさんあることは言わずもがな(なにしろ論文の数を増やすことが念頭にあるのですから)。発表論文の数が多いからと言ってその教授が偉いとは限りません(重要なのは論文の中身)。っていうか、化学の論文雑誌の数、個人的には多すぎな気がします。論文雑誌の数が増えれば、受理できる論文の総数が増えるので大した成果でもないのに受理される論文が増えるわけです(それを防ぐためにレフェリーがいるはずなのだが、出版しないと儲からないという事情もあって審査がザルっぽくなるのだな)。それが「論文書くから、成果だせ。」という教授を助長させてしまうんですね、私の思うところでは。

 あとこのタイプの教授はちょっと大き目の論文を書く場合には必ずFirst Authorになろうとする傾向があります(自分の名前を売りたいんだから当然だが)。論文の書き方の本にすべてのAuthorの業績は対等というような説明があったような気がしますが、実際はそうでもないです。△△△△ et al.という書き方があるようにFirst Authorはその研究に(主にアイデア面で)最も寄与している人になるのが本来の並び方です。論文博士の審査対象となる論文はFirst Authorのものでないとダメとかいう不文律があるようなところもあるようですし。しかし、ドクターのところでも書きましたが、闇実験でいい結果を出すと、それを自分が昔から考えていたがごとく語りだし、自分の手柄であるかのようにのたまう邪悪な教授もいて、First Authorの地位を乗っ取ってしまうのですな。他人の業績を謙虚に評価できない連中と言えましょうぞ。

青猫の就職活動

以下、いわゆる就職氷河期の話ですので、今とはだいぶ環境が違うでしょう。特にインターネットの話なんかは時代を感じさせますね。財務諸表の見方なんかは普遍的なものなので今でも通用するはずですが。

 さて、化学系の就職活動についてちと述べたいと思います。ここで述べるのは修士卒の就職活動です。学部卒では多くの化学系企業は研究職を採っていません。また博士卒の就職活動は前述の通り現状ではほぼ不可能なので。

コネ Effect

 猫ではなくコネです。近年(特に就職協定が廃止された後)化学系の企業において教授推薦のパワーが著しく低下している様子が見受けられます。教授推薦は当然教授のパワーに依存しますが、結構強力なパワーでは?と思われる教授推薦でも一次面接でさくっと落とされることも多くなっているようです。1か月くらい引っぱり回されたあげく、最終面接でさくっと切られたという事例も・・・(ちょっと非情であるが、それが会社というもの)。コネEffectの低下は、企業が必要な能力・技術をなるべく高いレベルで持っている人材を捜すためには手間をかけてでも自由応募による大きい母集団を用意した方が良いと認識したためでしょう。固定回線に人材を頼ると必ず教授によって他の企業から断られまくった質の低い人材を押し込まれる可能性がありますし(爆)。すると今後も教授推薦のパワーはさらに低下すると考えられます。教授推薦による活動では同時に複数受けられず、内定した場合に(道義的に)辞退できないという欠点を持つので、本命の企業でない場合は避けた方が賢明と考えられます。また自由応募で同時に他の会社を受けておくべきでしょう。備えあれば憂いなし。

就職活動の時期

 製薬系が11月から募集をはじめます。ちょっと邪悪ですが本命の採用活動が始まるまでに自由応募で最低1社は受けておくと良いと思われます。というのはやはり場慣れというものが必要だからです。3月に入ってもまったく進展がないようですとちょっと焦った方が良いでしょう。研究職の採用は2月と3月がピークであり、4月中にはほとんど終了してしまいます(4月中に募集始めて6月初旬に内定出す企業が最後であろう)。それ以降でも非研究職の採用はありますが(でも修士まで出て事務とか営業とかってちょっと悲しくない?)。

インターネット

 絶対に必要と言えるレベルに近くなってきました。なぜなら企業にとって大きい母集団を用意するのに最も手っ取り早い方法だからです。応募人数が数十倍に増えた企業もあるとか。「エントリーはeメールでのみ受け付けます。インターネットが使えない方はハガキに「インターネット使用不可」と書いてエントリーして下さい。」とホームページに書いてある企業がありましたが、インターネットを使えない人がこの告知をどのようにして見ると言うのでしょうか?(爆)会社案内をPDFファイルにして置いてある会社もあります。印刷してみると(プリンタの性能によっては)かなり安っぽいものになってしまいよろしくありません(PDFにするときモノクロにしてたりするし・・・)。経費節減もいいのですが、会社案内から受けるイメージも会社選びに影響すると思いますが・・・。インターネットが使えなくて、教授推薦に頼っている研究室は近いうちに就職全滅の憂き目を見る可能性もあります(全員ドクター行き?世も末だ)。研究室配属の際には充分にこの点を考慮に入れ、研究室でインターネットが使えない場合には前もって自腹でパソコンを用意するべきでしょう(安いもので十分です)。って、この文章もパソコン持っていない人は見る可能性低いな(爆)。パソコン持っていない人に教えてあげて下さい。

ちょっと経済のお勉強

 会社を選ぶ際には10年後くらいまで考えておくことが必要です(10年後に存在しないような会社ではこまるじゃろ、研究者の再就職は容易ではないぞ)。まあ、本当におおざっぱでいいなら新聞の株価でも参考にするといいでしょう。で、さらに調べたい場合、上場企業であればどこかに必ず損益計算書と貸借対照表が公開されているはずですので(ホームページで財務情報として掲載されていることもあるし、大手書店で手に入る有価証券報告書や日経会社情報などに載っていることもある)これを見ましょう。店頭公開の株式会社や未公開会社でも会社四季報にはおおまかな財務情報が載っています。おおざっぱに言って

が会社の安定性を示す値です。ただし異業種間(たとえば石油化学と製薬)で比較してもあまり意味がありません。石油化学では大きな蒸留装置とかが必要なので必然的に負債とか固定資産が多くなりますので。

とかが会社の成長性を示す値です。この辺くらいは調べておくべきでしょう。売上高や資本金だけではまったく分からないので注意しましょう(売上高が1000億でも、利益が1億しかないとか、資本金は100億でも、有利子負債が500億あるとか)。そして上場していなくても安定性や成長性の高い会社はいくらでも存在します(ただ非上場企業の財務情報の詳細はかなり調べにくい)。なので興味がある会社を発見したら上場している、いないにかかわらずあたってみると良いでしょう(上場しないことによるメリットもあるので、しようとしない企業もあります)。

福利厚生

 会社を選ぶときは、その会社の業種と財務状況と福利厚生の3つがポイントだと思います(少なくとも私は)。業種は会社案内に書いてありますし、財務状況は上に述べたように調べられます。ただし福利厚生については会社案内からは見えない部分が多いので、直接OBに聞くのが一番良いと思います。例:会社の雰囲気、独身寮の場所や仕様、有給休暇は(実質で)どれくらい取れるか、残業はどれくらいあるかなど。あ~、でも採用選考に絡んでいるOB(リクルーターとか)に有給休暇の消化の度合いとか聞くのはやめましょう。入社前から休むことを考えていると思われマイナスのイメージを与える恐れがありますので。

最後に

 自由応募での会社選びは自分の考えで行うものです(逆に言えば教授推薦には教授の考えも入ってくるということ)。会社の研究内容、知名度、福利厚生、成長性など人によって重視するファクターは様々でしょう。たまに自分の考えを押しつけるべく「余計な」ちょっかい(妨害?)を出してくる教授がいますが(ドクターの奨学金の話を持って来たり・・・この程度ならかわいいものだがな。これも倫理観の問題。)、自分の将来は自分で決めるという強い意志を持って自分の気に入った会社にアプローチをかけて下さい。教授との仲がいくら悪くなっても就職さえ決めてしまえば、たった1年でお別れですから(笑)。御健闘を祈ります。

用語説明-アカデミック・ハラスメント

 「セクシャル・ハラスメント」はすでに社会に定着しているので、まあ説明の必要はないですね。これと同じ様な感じで、上述の研究室ピラミッドの上位階層の者がその立場を利用して下位階層の者の権利を侵害することを「アカデミック・ハラスメント」というそうです。

例はすでに述べているように

などといったものが有名ですな。小学校の体罰問題のように被害が立証しやすいなら、まだ対応策も立てやすいのだが、見れば分かるように被害が立証しにくいものばかり。しか~も、被害を立証できたとしても訴訟の相手は教官とその雇用主、すなわち国立大学なら国。国相手の裁判の難しさは有名ですからな。その上、卒業時期の決定権を指導教官が握っているので、被害の泣き寝入りも当然多くなるわけだ。まあ被害に遭うのはドクターコースの学生が多いようです。(これもドクターコースを推奨できない理由の一つである。)こういうことをする倫理感に欠けた指導教官はあちこちの大学にいるらしいので注意が必要です(しかもこれは化学分野に限らない)。そんなことだから大学は社会不適応者収容所だとか言われちゃうんだよ(笑)。