bomb.png《爆裂火球》小百科

危険物の事典


燃えるものの危険性

 物質に内在している危険性は毒性だけではありません。さまざまな物質が燃焼という点を通じて危険性を持っています。ということでこの事典では消防法での危険物(どのようなものかは後述)を取り上げてみました。


燃焼と消火

 燃焼とは普通「光と熱の放出を伴う酸化反応」のことです。ただし広義には酸化反応ではない反応も含みます。燃焼が起こるには「可燃性物質」「酸素供給体(酸化剤)」「熱源(点火エネルギー)」の3つが必要です。これを燃焼の三要素といいます。また燃焼の継続には第4の要素である「酸化反応の継続(連鎖反応)」が必要です。逆に消火はこれらの要素を消滅させることでなされます。すなわち「可燃性物質の除去(除去消火)」「酸素供給体の除去(窒息消火)」「熱源の除去(冷却消火)」「連鎖反応の妨害(負触媒消火)」のいずれかが消火作業に必要な要素です。燃焼には「蒸発燃焼」「分解燃焼」「表面燃焼」の3つの形態があります。蒸発燃焼は液体または昇華しやすい固体が熱により気化してその蒸気が燃えるものです。分解燃焼は可燃物が分解をおこして可燃性の気体を放出し、その気体が燃えるものです。表面燃焼は固体がその表面で直接酸素と反応して燃焼するものです。

爆発の原理

 普通、開放空間での可燃性液体の蒸気の燃焼の伝搬速度は2m/秒くらいですが、密閉空間では蒸気が滞留していることと燃焼で生じる熱の逃げ場がないことにより速くなります。この急速な燃焼を爆発と呼びます。燃焼の伝搬速度が音速(約330m/秒)以下では爆燃と呼ばれ、急激な加熱による空気の膨張(爆音)やそれに伴う物体の破壊を伴いますが、本質的に通常の燃焼と変わりがないものです。しかし、燃焼の伝搬速度が音速を越えると空気の膨張(爆音)が衝撃波(ソニックブーム)となって離れた物体をも破壊するようになります。これを爆ごうと呼びます。


(消防法の上での)危険物とは?

「消防法別表の品名欄にあげる物品で、同表に定める区分に応じ性質欄にあげる性状を有するものである。」(消防法第2条第7項に書かれているのをちょっと変えて書いただけ。)よりわかりやすく言い換えるといろいろなものの可燃性や助燃性、爆発性などを試験してあるレベル以上の危険性が確認されたものを、確認された危険性の種類に応じて区分して消防法の別表にあげているということです。

危険物の区分

危険物はその危険性によって第1類~第6類の6つの類に分類されます。なお常温(20℃)で気体である物質(例えばプロパンガス)は消防法の危険物に該当しません(そのかわり普通、高圧ガス取締法で規制されている)。


危険物リスト(工事中)

第1類

塩素酸塩類 MClO3

性状

無色の結晶

禁忌

可燃物との混合、アンモニアおよびその塩との接触、強酸の添加、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

過塩素酸塩類 MClO4

性状

無色の結晶

禁忌

塩素酸塩類よりは安定だが、可燃物との混合、アンモニアおよびその塩との接触、強酸の添加、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

無機過酸化物 MO2

性状

無色または淡黄色の粉末

禁忌

可燃物との混合、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

アルカリ金属の過酸化物は水と激しく反応し、酸素を発生する。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

亜塩素酸塩類 MClO2

性状

無色の粉末

禁忌

可燃物との混合、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

鉄や銅などの金属を腐食する。

光、酸との接触で有毒、爆発性の二酸化塩素を発生する。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

臭素酸塩類 MBrO3

性状

無色の結晶

禁忌

可燃物との混合、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

硝酸塩類 MNO3

性状

無色の結晶

禁忌

可燃物との混合、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

ヨウ素酸塩類 MIO3

性状

無色の結晶

禁忌

塩素酸塩、臭素酸塩よりは安定だが、やはり可燃物との混合、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

過マンガン酸塩類 MMnO4

性状

赤紫色の結晶または粉末

禁忌

可燃物との混合、強酸との接触、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

重クロム酸塩類 MCr2O7

性状

橙色の結晶または粉末

禁忌

可燃物との混合、衝撃、摩擦、加熱で爆発することがある。

ある温度以上に加熱すると分解して酸素を放出する。

その他政令で定めるもの

NaIO4(過ヨウ素酸ナトリウム), HIO4(過ヨウ素酸), CrO3(無水クロム酸)

NaNO2(亜硝酸ナトリウム), Ca(ClO)2(次亜塩素酸カルシウム=高度さらし粉)

などが指定されている。


第2類

硫化リン PxSy

性状

禁忌

摩擦、加熱で発火しやすい。

水と反応して有毒な硫化水素ガスH2Sを発生させる。

赤リン Px

性状

禁忌

摩擦で発火しやすい。

硫黄 Sx

性状

禁忌

酸化剤と混合したり、炎と接触すると発火する。

燃焼時に有毒な亜硫酸ガスSO2を発生する。

鉄粉

 水との接触で発熱し、酸や高温の水蒸気との接触では水素を発生させて発火することがある。

金属粉

 アルミニウム、亜鉛の粉末は酸や水と接触すると水素を発生し自然発火することがある。高温になると激しく燃焼し危険。

マグネシウム

 点火すると白い光を放ちながら激しく燃焼する。熱水と接触すると水素を発生する。

その他政令で定めるもの

 固形アルコール(アルコールをしみこませた樹脂)、ラッカーパテ、ゴムのりが指定されている。


第3類

カリウム

ナトリウム

 ナトリウム、カリウムは水と反応して水素を発生し、またその時発生する熱で自身も着火する。極めて強い還元性を持つ。一般に石油中に貯蔵される。

アルキルアルミニウム

 トリメチルアルミニウム(CH3)3Alは空気中の酸素や水と反応して即座に発火する。発火時には有効な消火法は存在しないので、周囲から可燃物を除去し延焼を防ぐ。有機溶媒に溶かされているものは比較的安定である。炭素が多いアルキルアルミニウムほど安定である。

アルキルリチウム

 メチルリチウムCH3Li、ブチルリチウムC4H9Li、フェニルリチウムC6H5Liなどがよく知られている。多くは有機溶媒に溶けた状態で使用される。アルキルアルミニウム同様に空気中の酸素や水と反応する。t-ブチルリチウムなど即座に発火するものもある。

黄リン

 猛毒である。空気中に放置すると酸素と反応して自然発火するので水中に保存される。

アルカリ金属(カリウムおよびナトリウムを除く)およびアルカリ土類金属

 リチウム、カルシウムなどである。カリウムやナトリウムに比べると反応性は低いが、やはり水と反応して水素を発生する。

有機金属化合物(アルキルアルミニウムおよびアルキルリチウムを除く)

 ジエチル亜鉛などである。程度の差こそあれアルキルアルミニウムやアルキルリチウムと同様の危険性を持つ。

金属の水素化物

 水素化ナトリウム、水素化リチウム、水素化カルシウムなどである。水と反応して水素を発生する。

金属のリン化物

 リン化カルシウムが指定されている。これは水と反応して有毒なホスフィンガスPH3を発生する。

カルシウムおよびアルミニウムの炭化物

 カルシウムカーバイドCaC2は水と反応して非常に燃焼しやすいアセチレンガスC2H2を発生

する。炭化アルミニウムAl4C3は水と反応してメタンガスCH4を発生する。

その他政令で定めるもの

 トリクロロシランHSiCl3が指定されている。これは水と反応して塩化水素ガスHClを発生させて金属を侵す(このとき水素が発生する)。


第4類

特殊引火物

 ペンタン

 ジエチルエーテル

 二硫化炭素

 アセトアルデヒド

 プロピレンオキサイド

 これらは極めて沸点の低い化合物で室温でも容易に引火する。また二硫化炭素は100℃以下で発火するので注意が必要。

第1石油類

 ヘキサン

 酢酸エチル

 アセトン

 これらはガソリンと同程度に引火しやすい。

アルコール類

 メタノール

 エタノール

 これらは水溶性の引火性液体である。通常の泡消火剤は無効。

第2石油類

第3石油類

第4石油類

動植物油類


第5類

有機過酸化物

 過酸化ベンゾイルなど。光・熱で激しく分解する。

硝酸エステル類

 ニトログリセリンなど。

ニトロ化合物

ニトロソ化合物

アゾ化合物

ジアゾ化合物

ヒドラジンの誘導体

その他政令で定めるもの


第6類

過塩素酸

過酸化水素

硝酸

その他政令で定めるもの


消火剤

 水の消火剤としての利点は「どこでも調達可能で、安価」「蒸発熱、比熱が大きいため冷却消火の能力が高い」「大規模な火災にも効果がある」といった点があります。逆に欠点としては「使用できるのが普通火災のみである(電気火災では感電の危険がある、油火災では油面を拡げてしまう、水と反応する危険物も多い)」「浸水による物品の被害が大きい」といった点があります。

炭酸ガス

 人が入りにくい密閉空間での火災に有効で「窒息消火」による消火です。物品を破壊しない利点もあります。また電気火災にも有効です。ただし、要救助者が残っている可能性のある火災には使用できません。

ハロン

 もっぱら電気火災の可能性のあるコンピュータルームなどに設置されています。炭酸ガスにの「窒息消火」の作用に加えて「負触媒消火」の作用も持っています。しかし現在ではハロンはオゾン層破壊の原因として規制されています。

 水や不燃性液体に界面活性剤を加えて泡立たせ、燃焼しているものを覆って空気を遮断するという方法による「窒息消火」。通常の水と異なり油面を拡げないため、油火災に有効。

粉末

 炭酸水素塩やリン酸塩の粉末による消火で家庭用の消火器に広く使われています。これらは粉末で燃焼しているものを被覆して空気を遮断する「窒息消火」とリン酸塩のものは多少の「負触媒消火」の作用を持っています。リン酸塩のものは普通火災、油火災、電気火災いずれにも使用できます。炭酸水素塩は油火災、電気火災および禁水性物品の火災に使用できます。

乾燥砂・膨張蛭石

 粉末による消火同様に被覆による窒息消火。禁水性物品を含むすべての危険物による火災に効果があるが、他のものに火が広がってしまうと使用は難しくなります。


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