バイオメカニクス(運動する体)に関する用語 |
抵抗
物体に外力が働く時、それに逆らう力のこと(抵抗力)。スキーでは重力作用による滑走を妨げようとする力
摩擦抵抗
スキーの滑走面と雪面との摩擦によって生まれる抵抗。
除雪抵抗
スキーが雪面を押しのけて進む時に受ける抵抗。直滑降では主にトップ部分の滑走面で、横滑りやターンでは滑走面・エッジサイドで受ける抵抗。
圧雪抵抗
スキーヤーがスキーで雪面を圧することによって生じる垂直抵抗力による抵抗。
空気抵抗
スキーヤーが滑走中に受ける空気の抵抗のこと。前面から見た面積、かたちの影響を受け、速度の二乗に比例し、高速になるほど抵抗が大きい。
雪面抵抗
スキーヤーとスキーの移動に対して雪面から受ける抵抗のこと。摩擦抵抗と除雪抵抗とを合わせた抵抗力で、「雪面抗力」とも言われ、「通常スキーヤーの移動方向とは逆向きに働く力。
運動量
質量と速度の積、運動量の単位あたりの変化はその物体に働く力に等しい。
慣性[回転慣性]
静止、あるいは等速運動をしている物体に外力が作用しないかぎり、そのまま静止状態あるいは等速運動を続けようとする性質。
向心力
スキーヤーが円運動をする時に、円の中心に向かって働く力。
遠心力
スキーヤーがターンをするときに、回転の中心から遠ざかる向きに働く力。向心力に反対向きに働く、見かけの力。
重心[身体重心]
人体の各部分に働く重力が一つに集まる点。質量中心と一致する。重心が基底面の上にあることが安定を保つ条件となる。
重心移動
スキーでは、スキー操作の目的で重心の位置を変えること。
重心の上下動
身体重心の上下の位置変化
。スキーでは主に、脚の曲げ伸ばしによるものと、脚の開き閉じによるものがある。
外力
重力や雪の抵抗など、スキーヤーに外部から働く力。
内力
スキーヤー自身の筋力によって発揮する力。
スロスオーバー
ターンの切りかえ局面において、身体重心の軌道とスキーの軌道が交差すること。
進行方向
運動方向。身体とスキーが実際に滑って行く方向。
迎え角
進行方向に対して、スキーを横向きの状態にした場合、スキーの長軸方向と進行方向が作る角度。
この角度が大きいと横ずれが多く、小さいと横ずれが少なくなる。
内傾角
回転する力を得るために、身体の重心がターン内側に位置するとき、荷重点と重心を結んだ線と垂直線がなす角度。
角づけ角
雪面に対してスキーを傾けた時にできる雪面とスキーの角度。
運動操作に関する用語 |
バランス
安定、釣り合い。未熟な段階ではプルークのように基底面の大きいポジションをとると安定する。習熟するにつれてスキーヤーは外力と釣り合うポジションをつくるために内力を使い、釣り合いを取るようになる。
リズム
力の強弱の調子。バランスを土台として、動きのタイミングをとることによってリズムが生まれる。
タイミング
運動の時間的な調節。
舵とり
弧を描いて進行方向をきめていく局面。
切りかえ
ターン弧を左右に切りかえるために、スキーと身体の位置を左右に置き換え、スキーの角づけを反対側へ切りかえること。
補助動作
スキーでの主要な操作や動作を補助する動き。
ポジショニング
荷重移動、重心移動によって、回転に必要なスキーと身体との位置関係をつくりだすこと。または、位置関係を調節すること。プルークポジション、パラレルポジションなど。
エッジング
荷重、角づけ、回旋によってスキーと雪面の間に生じる力を調節する力の総称。
荷重
スキーヤーがスキーに体重を乗せたり、筋力によって雪面に働きかける力。
荷重移動
スキーヤーが雪面に働きかける力の位置を変える事。足裏の踏みつけポイントの移動。重心移動と荷重移動は常に一対の関係になる。
抜重
雪面を圧している力を軽減すること。
複合動作
いくつかの操作を一つの働きにまとめておこなうこと。たとえば、エッジングは、荷重と角付け、または、回旋を複合した動作である。
交互運動
左右の脚を交互に使う運動。
同調運動
両脚の動きの方向が同じで、タイミングもほぼ同時に行われる運動。
ピボット操作
ピボットは回旋軸や中心のことになるが、この軸や中心点を捉えてスキーを回旋する操作のこと。ターン運動としては、足裏に感じる荷重点を、曲線軌道から外さないようにして、スキーのトップ部分から雪面抵抗を捉えていく操作となる。
ワイドスタンス
腰幅より広く足を開いた立ち方。左右のバランスがとりやすい。
オープンスタンス
左右のスキーの感覚を腰幅程度に開いた立ち方。
ナチュラルスタンス
スキーをつけて自然に立ったスタンス。運動の条件に対応しやすく、他のスタンスと組み合わせて活用する事が多い。
クローズドスタンス
左右の足を揃えた立ち方。特に新雪やコブ斜面での滑り方などで多用される。
技術に関する用語 |
カービング[カービングターン]
彫りこむ、切り込むの意味。角づけを主体として、スキーを縦に滑らせ、横ずれを伴わないターン技法のこと。
スキィディング[スキィディングターン]
滑るとくに横にずれるの意味。角付けを調整して、スキーを横方向にずらすターンの総称。
シュテム
ターンを切りかえる時、スキーを八の字形に開きだす操作。山開き、谷開き、両開きのかたちがある。
パラレル
両方のスキーを平行に保ったままのターン技術。
プルーク
スキーを八の字形にして滑ること。雪を押しどかしながら方向を変えないで滑るものをプルークファーレンという。
プルークボーゲン
スキーを八の字形に維持して回転すること。スキーの八の字形を維持し、内スキーの角付けを切り換えない回転および連続回転をプルークボーゲンという。
ターン
外スキーに併せて内スキーも角付けを切り換え、両スキーの内側に身体を移動させて舵とりををこなう回転のこと。
ストレッチングターン
ターン切り換え時に、伸び上がり動作を用いるターン技術。
ベンディングターン
ターンの切り換え時に、屈脚、屈膝の動作を用いるターン技術。
谷まわり
フォールラインに向かう回転。
山まわり
フォールラインから離れていく回転。
姿勢に関する用語 |
外傾、内傾
回転ポジションをとったときに下肢の傾きに対して上体を外側に傾けて構えることを外傾、下肢の向きと同じ角度に構えることを内傾という。
外向、正対、内向
回転のポジションをとったときに、上体をスキーの長軸方向よりも外向きに構えることを外向、スキーの長軸方向に構えることを正対、スキーの長軸方向よりも内向きに構えることを内向という。
フォーム
かたち、姿勢。運動を行うのにもっとも良い身体各部や、スキー板の位置関係。静的なポーズではなく、運動の時間的な経過にともなう位置関係として動的なイメージでとらえられる。
外脚、外足、外スキー
回転のポジションをとった時、回転弧の外側にくる脚、足、スキーを指す。
内脚、内足、内スキー
回転のポジションをとった時、回転弧の内側にくる脚、足、スキーを指す。
山脚、山足、山スキー
斜面を横切るポジションをとった時、山側にくる脚、足、スキーを指す。
谷脚、谷足、谷スキー
斜面を横切るポジションをとった時、谷側にくる脚、足、スキーを指す。
地形に関する用語 |
フォールライン
傾斜面の最大傾斜線。ものが落ちていく方向。
整地
平らに整備された斜面。
不正地
コブ斜面を指すことが多い。
整地されていない斜面。
ピステ
アルペンスキー用に整備された斜面のこと。
コース。
ゲレンデ
スキーができる山野全体のこと。