娘。代議士物語 第3話 「裏切りの代償」

(前回のあらすじ)
保田副総理の多数派工作は順調に進み、ついに内閣不信任案を提出。クーデターを決行した。だが、中澤前総理に恩義を感じクーデターに参加するはずだった石川が直前に裏切り、クーデターは失敗に終わる。自分を姉と慕う加護に涙ながらに訴えられ、加護とともに娘。党に残ること選んだのだった。
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 賛成票234枚。反対票244枚。棄権22。以上の結果をもちまして、内閣不信任案は否決となりました!

ざわめく国会。今、1つの大勝負の決着がついた。

 バカなっ!!!
 負け・・・・・か。
 ・・・・・・・
 おかしいよ!絶対勝てるはずだったのに!!どうしてよ!!
 棄権が22ということは・・・・
 ・・・・梨華ちゃんだね。
 石川!?

(鬼のような形相で石川の席の方へ振り向く保田)
(その視線の先には、目を真っ赤にして、普段の美人顔からは程遠い顔をした石川の姿があった)

 そ、そんな・・・・・(ダンッ!!)(石川の席へ走り寄る保田)


 石川!!!どういう事なの!!!
 ・・・・・・・・・・
 昨日私に協力するっていったよね!!そうでしょ!!!
 ・・・・・・・

(唇をかみ締め、表情を崩さない石川。目は前を向いているが、何も見てはいない・・・)

 なんとか言いなさいよ!!!
 ・・・・・・・
 こいつっ!

(石川の服の肩のところを鷲づかみにし、自分の方を向かせようとする)

 ・・・っ!

(目を閉じて耐える石川。肩を震わせ必死に耐えている)

 圭ちゃん、やめときなよ。もう終わったんだ。行こう。
 でも・・・・でも・・・・ひどいじゃないこんなの!(目に涙をためる保田)
 うん。そだね。
 だって・・・だって約束したんだよ・・・・
 ・・・・・・・・
 一緒にやろうって・・・・裕ちゃんのかたきを取ろうって約束して・・・・
 ・・・・・・・(泣いちゃだめ・・・・)
 なのに・・・・なんで・・・・
 ・・・・・・・(泣いちゃだめだ!あいぼんが見てる・・・・)
 行こう・・・・・

(市井に肩を抱かれ去っていく保田)
(石川は動かない。加護の自分への視線を気にして必死に耐えている)

 ・・・・・・(ここで泣いたら、あいぼんが気にしちゃう・・・泣いちゃだめだ・・・・・)
 棄権か・・・・梨華ちゃんらしいね。
 ・・・・・・
 昔から変わらないね。八方美人で調子がいいところ。
 ・・・・・・・(よっすぃ・・・・)
 そういうところ直した方がいいよ。これ最後のアドバイスね。もう話すこともないだろうから。
 ・・・・・・(泣くな!泣いちゃ・・・だめ・・・・)


 ・・・・石川。
 ・・・・・・・(中澤さん・・・・・ごめんなさい・・・・)
 あんたにはあんたの事情があるんやろ。
 ・・・・・・
 あんたはもう昔の頼りない石川やない。自分の信じることをやったらええんや。誰にどう思われてもな。
 ・・・・・・・(じわっ)(石川の目に涙が溢れる)
 がんばりや・・・・じゃ。
 (もうだめ!)

(ダンッ!!)
(自分の席を立ち、会場から逃げるように走り出る石川)
(1つ上のフロアの誰もいな女子トイレへ)

そしてトイレに入ると同時に号泣した・・・・

 ・・・・どうして・・・・・どうして・・・・みんなあんなに仲良く頑張ってたのに・・・・なんで喧嘩するの・・・・なんで戦わなくちゃならないの・・・・・わたしは・・・・中澤さん・・・飯田さん、保田さん安倍さん・・・・・みんなと仲良くしたい。誰も嫌いになりたくないし、誰にも嫌われたくない・・・・それだけなのに・・・・・どうして・・・・・・

石川はひたすら泣いた。どのくらいの時間泣いたのかも忘れるほどに。
ただ悲しくて泣いた。
どうすればいいのかもわからないまま・・・・・


「裏切りの代償」編 終わり
次回、「たった一つの冴えたやり方」編 に続く


全リスト
第1話 「政界再編の予兆」
第2話 「副総理の誤算!石川の裏切り」
第3話 「裏切りの代償」


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