「M」

第8章 side-B


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ブーンという機械音だけが響いている。
部屋の中は薄暗く、たくさんの機械が狭い部屋の中にたくさん置いてあることがわずかにわかる程度の明るさしかない。
人気は無い。だが何か生活感のようなものも感じられる。

(ビーン!)
やがてモニターが休眠状態から起き上がる独特の音がして、部屋のなかに響いた。
そして眠っていたモニターの一台が目を覚まし画面に光が宿る。
その光に照らされて部屋の中もいく分明るくなるが、所詮はモニターの弱い光ゆえに部屋全体を照らすまでには至らず、モニターの前の一部分が明るくなったのみである。
その光に照らされた場所には無数のコンピュータのジャンク部品のようなものが床に散らばり、また起動したモニターの周りのたくさんの箱型コンピュータや他のモニターの存在も確認できる。

やがて起動したモニターに文字が次々に表示され始めた。
<V-OBJECT作動許可申請 .... 作動許可 .... ID発行(0x41AC)>
<プロセス開始 (0x41AC) >
<....消去ターゲット確認 (2A-C1-000002CE) >
<....消去成功>
<....消去ログ設定 (2005/03/15 20/35/21) >
<プロセス開放 (0x41AC) >

数秒で一連の文字列を表示し終わると、その後再び文字列が出力されてくることはなかった。
そして10分後、モニターは再び休眠状態に移行し、部屋は機械音だけが響く薄暗い空間に戻った。



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