ちょっとだけ珍しい書籍の案内などをしてみる。

『金田一探案13 惡魔的彩球歌』(上下巻)

 珍しいと言っても古書ではなく、つい何年か前に出版され、今でも新刊として入手できるはずの書籍である。
 とは言え、どこの本屋でも頼めば買えるというモノでもない。なぜなら、加珈文化事業有限公司という台湾の出版社から出版され、主に台湾で流通しているらしい、横溝正史著「悪魔の手毬唄」を曾小瑜という人が中国語(台湾語?)に訳している書籍だからである。
 英語、フランス語に翻訳された横溝正史作品がいろいろなサイトで紹介され、あるところでは、中国語版の横溝作品の紹介までもあり、日本の誇る探偵小説作家『横溝正史』が国外にまでいろいろな形で紹介されていることは、一ファンとしても喜ばしい限りである。
  …しかし、そんな中、残念なことに、昨年(2002年)、光文シエラザード文化財団ミステリー文学資料館で行われた横溝正史生誕百年記念展に展示されていた、台湾の林白という出版社から出版されていたらしい惡魔的手毬歌という書籍に関してはあまり情報を得ることができず、もちろんのこと入手もできないでいた。あれこれと調べてみても出版社版元品切れということしかわからず、台湾まで行って現地の古書店(台湾では古書店を『舊書店』、あるいは「古書」という意味で『二手書』というらしい)
でも探さにゃならんのかいな…と、がっかりしていた最中、たまたまネットを徘徊していたら見つけたモノがこの惡魔的彩球歌」である

 お断りしておくが、中国語なんぞ、堪能どころか、まるでわかりはしないのである。ハッキリ言ってこれが普通の中国語の作品だったら、全くわけもわからず、入手してみようとすら考えなかったに違い無い。しかし、「悪魔の手毬唄」の翻訳ならだいたいは内容もわかっているし、漢字だったら英語ほどはアレルギー症状はでないかもしれないだろう…くらいの軽い気持ちで購入を試みたにすぎない。
 このページのタイトルも決して「読む」とはしておらず、「見る」にしてあるということからもわかって頂けるだろうというものである。

 若干の困惑を伴いつつも、なんとか入手する事が出来、内容を見てみると、なるほどこれは紛れも無く「悪魔の手毬唄」だ。

 ユニークなのは、本文の前に「
惡魔的彩球歌相關地圖」という日本地図に岡山の場所の案内があったり、「人物係表」という登場人物の相関図があるのが、それっぽくて面白い。…しかし、相関図は…いいのか?
 購入以前には、同じ漢字なのだから…と考えていたが、いざ目にしてみると、平仮名・片仮名が全くないことにやはり動揺させられるし、ここまで文章を読んでいただいてもわかるように、同じ漢字でありながらも、現在の日本の登用漢字で使われていないものも多く、中にはPCでの変換もできない漢字などもあり、読もうにも、なかなかどうして一筋縄ではいかない。
 「青池リカ」は「青池里佳」になっているし、「大空ゆかり」は「大空由佳利」である。

 さて、「悪魔の手毬唄」といえば、何と言っても冒頭に掲げられた「鬼首村手毬唄」であろう。これが「台湾語版」ではどうなっているかだけ抜粋して紹介してみよう。




※ この「鬼首村彩球歌」は入手書籍からのスキャニングした画像ではなく、テキストを引き写して作った画像です。


 歌の中にある(注)は原文まま引用したものである。同様に、本文中にも時々訳注が入ったりしているのもなかなか面白い。
 なぜ、この「手毬歌」だけわざわざ画像化してあるのかというと、もちろん適切に変換できる漢字の該当がみつからず、画像上で作字をしなければならない必要にせまられたからである。
 「悪魔の手毬唄」なら、他にもいろいろと引用して紹介したい場面や台詞などもあるのだが、作字の手間を惜しむわけではないが、あまり露骨に引用ばかりしても仕方ないので敢えて控えることにする。どうしてもここはどうなっているのか…という御興味がありつつも書籍購入までしたものかと思われる方は御一報いただければ個別に対処させていただくということにして、ここではお許し願いたい。

 この「惡魔的彩球歌」の横に『金田一探案 13 』とあることからもわかるように、この出版社からは他にも多くの金田一耕助シリーズが翻訳出版されている。「悪魔の手毬唄」が惡魔的彩球歌」であるように、題名だけをとっても他の作品も微妙に違っていて面白いモノもある。一部だけ紹介しておきます。…何の作品か、もちろんお分かりになりますね。

   惡魔的聖誕節

   醫院坡血案

   迷路的新娘

   化裝舞會

   迷宮慘劇

   夜行

 さて、ここまで紹介しておきながら、一体どこのページへアクセスすればもう少し詳細を見ることができるのかを案内しないままだと片手落ちと言われるかもしれない。
 以下にリンクにて一応のご案内をさせて頂きますが、念の為お断り致しておきます。下リンク先は日本国外のHPですので、ネットアクセス環境によっては、言語他問題を生じる可能性も無いとはいえません。また、当方では、あくまでも「こういうモノもあります」という紹介をしているだけであり、実際の商取り引き等に関しては一切関係するものではありません。ネットアクセス及び商取り引きに関していかなる問題が生じましても当方では一切責任をおいかねますので、個人の責任においてご覧いただきますよう、くれぐれもお願い致します。

博客來書籍館台湾》(『横溝正史』にて検索済結果ページへのリンク)
http://db.books.com.tw/exep/openfind_book.php?key=%BE%EE%B7%BE%A5%BF%A5v&page=0&sort=1




∵∴∵∴ こちらのHPでも日本国外で出版された横溝正史著作品の書籍に関しての紹介もされておられます。 ∴∵∴∵

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